売却

なぜ売れない?築古の中古投資用マンションを売却するためのコツ

2022年11月02日

築古の投資用マンションでも、簡単に売れる場合もあれば、なかなか売れない場合もあります。
少しでも有利な価格で売却したい方は、改めて売却のタイミングや方法を見直してみたほうが良いかもしれません。

ここでは、築古の投資用マンションの定義、売却に適したタイミング、売却できない時の対策などに加え、売却の流れや費用などについて詳しく解説しています。

そもそも築古マンションの定義とは?

投資用マンションにおける「築古」とは?

投資用マンションの売却に際し、よく「築古」という言葉が登場しますが、投資用マンションにおける「築古」という言葉には、厳密な意味での定義はありません。

とは言え、例えば建ててから50年ほど経った物件は、ほぼ間違いなく「築古」です。一方で、建ててから3年しか経っていない物件は、もちろん「築古」とは言えません。
明確な定義はありませんが、投資用マンションの売却を検討している方は、ご自身の所有する物件が「築古」なのか「築古」でないのか、やや気になるところではないでしょうか。

「築古」の目安は築20年

「築古」かどうかを判断する1つの基準として、新築時の価格から現在評価額がどの程度下がっているか、という考え方があります。
この下落率がいったん落ち着く時点、すなわち築20年経った物件を「築古」と呼ぶことがあります。

新築時の価格を100%とした場合、築1年目の評価額は90%程度まで、築5年目の評価額は80%程度まで下がると言われています。
下がるとは言え80~90%程度を維持していると考えれば、さほど大きな下落とは言えません。

その後、築年数が経つにつれて評価額は徐々に下落。
築10年程度で70%程度まで下がり、その後も下がり続け、築20年になると50~60%程度まで下落します。
その後も築年数に応じて評価額は下がり続けるわけですが、物件の中には、この築20年という時点を目安に、下落率がいったん落ち着くものも少なくありません。
お持ちの投資用マンションが「築古」であるかどうかを判断する際の、1つの目安にしておくと良いでしょう。

適用されている耐震基準を目安に「築古」を判断することもある

投資用マンションが「築古」であるかどうかを判断する基準として、耐震基準を目安にする考え方があります。

耐震基準とは、建築基準法と建築基準法施行令に基づく建物の耐震性能の基準です。
マンションを新築する際には、必ず国が定める耐震基準をクリアしなければなりません。

この耐震基準には、通称・新耐震基準と旧耐震基準の2種類があります。
1981年(昭和56年)6月1日以降に施行されているのが新耐震基準で、その前日まで施行されていたのが旧耐震基準です。これらのうち、旧耐震基準のもとで建てられた投資用マンションを「築古」と判断することがあります。
この考え方に従えば、現在は2022年なので、逆算すれば築41年以上の投資用マンションが「築古」です。

どんなタイミングが売却に適しているか

築古と判断される投資用マンションを売却する場合には、売却に適したタイミングを押さえておくことが大切です。
こちらも明確な基準はありませんが、一般的には、次のようなタイミングで売却することが、売主にとってやや有利になると考えられています。

大規模修繕が行われる前

大規模修繕とは、一定期間ごとにマンションの外壁や共有部分などを修繕する大掛かりな工事のこと。
大規模修繕が行われるとマンション全体の資産価値が上がるため、売却するタイミングとしては「大規模修繕の後」が良いとする説もあります。
しかし、状況によっては、むしろ「大規模修繕の前」のほうが売主にとって有利になることも少なくありません。

大規模修繕にかかる費用には、マンションの所有者たちからの定期的な管理修繕費の積立金が充てられますが、実際に大規模修繕が行われる際、この積立金では不足することが多々あります。
不足した場合には、マンション所有者たちから追加で特別徴収をするのですが、この特別徴収の金額は決して安くなく、場合によっては100万円を超えることもあります。
特別徴収の前に開催されるマンション所有者向けの説明会で金額を確認し、その金額が大きい場合には、大規模修繕が行われる前に売却することも検討しましょう。

減価償却が終了するタイミング

減価償却費の経費計上による節税の恩恵を最大限に受けるためには、所有するマンションの法定耐用年数が訪れる直前に売る、という方法が有効です。

減価償却とは、高額な動産や不動産の購入費用について、一括ではなく複数年度に分散して経費計上する会計処理のこと。
各動産・不動産について、法令で定められた法定耐用年数に応じ、購入費用を分散させて経費計上します。

また、法定耐用年数とは「何年で価値がゼロになるとみなすか」という年数です。
資産の種類ごとに決められており、例えば鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所用建物であれば50年とされています(※)。

減価償却費として経費計上された金額は、その年度の利益と相殺できるため、一定の節税効果を得ることが可能。
逆に言えば、法定耐用年数を過ぎると減価償却費がなくなるため、それまで得られた節税効果を得られなくなるのです。

※国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」
https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html

低金利の間に売却する

不動産価格の算出方法には、大きく分けて「収益還元法」「原価法(積算法)」「取引事例比較法」の3種類があります。
投資用マンションの価格の算出においては、これらのうち「収益還元法」を用いることが一般的です。

「収益還元法」とは、対象となる不動産が将来的に生み出すであろう果実(収益)を考慮して価格を算出する方法のこと。「金利+不動産リスクプレミアム」を「NOI利回り」とし、この「NOI利回り」を分母にして不動産価格を算出します。

この算式では、金利が低ければ低いほど「NOI利回り」も低くなることがわかると思いますが、「NOI利回り」は収益還元法による不動産価格算出の際の分母になるため、低ければ低いほど不動産価格は高くなります。
2022年10月現在、日本では低金利政策が続いているため、投資用マンションの「NOI利回り」も低めです。
投資用マンションを売却するタイミングとして、決して悪い時期ではありません。

空室が増えてきた時

空室対策としてハウスクリーニングやリフォームなどを行ったにもかかわらず、一向に空室率が下がらない場合、そのまま所有し続けるのではなく、売却して次のマンションに投資をしたほうが良いかもしれません。

不動産会社が借主となるサブリース契約を交わせば、一定の家賃を確保できます。
しかし、家賃が通常よりも下がることもあるので、契約前によく内容を確認しておくことが大切です。

引っ越しシーズンの前

不動産需要の高い引っ越しシーズン前になると、全国的にマンションの需要は上がる傾向があります。
築古であっても、駅近などの好条件があれば、買主が現れやすいかもしれません。

必ずしも引っ越し前のシーズンにマンション相場が上がるという保証はありませんが、1月下旬から2月にかけて、もしくは秋の引っ越しシーズンとなる9月頃に相場が上がる傾向にあります。

築古マンションが売却できない時の対応策と注意点

価格やタイミングなどを考慮し、不動産会社にも協力してもらって売出を行っているにもかかわらず、残念ながら、どうしても買主が現れてこない合があります。
理想の買主が現れるまで気長に待ち堪えられるならば良いかもしれませんが、次のマンションへの投資計画がある方にとっては、少しでも早めに売却したいところでしょう。

以下、築古の投資用マンション売却が難しい時の対応策・注意点として、主な2点を解説します。

焦ってリフォームやリノベーションを行わないこと

ハウスクリーニングは行っておいたほうが良いと思われますが、リフォームやリノベーションは必ず有利に働くとは限りません。

なかなか買主が現れずに気持ちが焦ってくると、「リフォームやリノベーションをすれば売れるのでは?」という気持ちが湧いてくるものです。
もちろん、リフォームやリノベーションで資産価値を高めれば、その分だけ売却できる可能性は高くなります。
ただし、仮に売却できたとしても、リフォームやリノベーションに要したコストを回収できるとは限らない点に注意が必要です。

また、築古のマンションを購入する人の大半は、購入後に自分好みの内装にリフォームすることを前提としています。
前の所有者がリフォームをしてしまったがために価格が高くなり、かつ自分好みとは異なるリフォームがなされていた場合、かえって購入が見送られてしまう可能性もあるでしょう。

中古マンション売却前のリフォームに関する解説はこちら

リノベーション代の分だけ資産価値が上がるとは限らない

基本的には、リノベーションをすると資産価値は上がります。

リノベーションした中古マンションの担保評価額について、金融機関はリノベーション代をそのまま担保評価額に加算する制度を設けました。
例えば、資産価値2,000万円のマンションを500万円でリノベーションした場合、金融機関での担保評価額は単純に2,500万円になるという制度です。

しかし、この制度が適用される物件は、一般的に「1981年の新耐震基準以降に建てられたもの」と解釈されており、1981年以前の旧耐震基準の下で建てられたマンションではこの制度が適用されません。
もし500万円かけたリノベーション代が100万円にしか評価されなかった場合、オーナーにとって、実質的には400万円のマイナス。
「リノベーションなどやらずに、2,000万円のままで売りに出せば良かった」という結果になる可能性があるのです。

不動産会社に買取してもらうことも検討する

不動産会社が売買を仲介するのではなく不動産会社自身が買主になるという売却方法があり、これを買取と言います。
不動産会社に買取を打診すれば、高い確率で投資用マンションを売却できます。

買取が成立した後に不動産会社がリフォームやリノベーションをして売却する流れとなるため、前のオーナーがリフォームやリノベーションをする必要はありません。
なかなか売れない投資用マンションを確実に売るためには、買取は有効な手段の1つとなります。

ただし、買取を選んだ場合、通常の不動産相場に対してやや低めの価格での売却となってしまうのが通例です。
次の投資用マンションを買うために、すぐに現金を手にしたい方など、何らかの事情がある方は買取を検討してみると良いでしょう。

物件を解体して更地として売却する選択肢もある

築古の投資用マンションや投資用アパートを一棟まるごと所有している方ならば、物件を解体して更地として売却するという選択肢もあります。
更地であれば、マンション以外にも駐車場やオフィスビル、高齢者施設など、用途の選択肢が広くなるため、その分だけ買主が現れる可能性は高まることでしょう。

ただし、更地にするためには物件を解体しなければならず、物件を解体するためには莫大な解体費用がかかります。鉄筋コンクリート造であれば、解体費用は坪5~6万円ほどはかかるでしょう。
これら解体にかかる費用や処分費用などを考慮し、それでも更地にしたほうが良いと判断される場合には、更地での売却を検討してみて良いかもしれません。

なお、なかなか買主が現れない投資用マンションであっても、築20年前後の物件であれば、まだまだ買主が現れる可能性は残っています。
焦らずにじっくりと構えることも大切です。

投資用マンション売却の際に不動産会社と結ぶ媒介契約

投資用マンションの売却活動をする際に不動産会社と結ぶ媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれの概要を確認しておきましょう。

媒介契約の種類と特徴についてはこちら

一般媒介契約

一般媒介契約とは、複数の不動産会社と同時に結ぶことができる媒介契約を言います。
不動産会社に買主を探してもらいながら、一方で売主自身が買主を探すことも可能。売主が自分で買主を見つけた場合、基本的に契約中の不動産会社へ仲介手数料を払う必要はありません。

なお、売主と一般媒介契約を結んだ不動産会社は、対象物件の情報をレインズに登録する義務を負いません。
また、売却活動の内容や進捗を売主に報告する義務もありません。

専任媒介契約

専任媒介契約とは、不動産会社1社のみと結ぶ媒介契約の1つ。
不動産会社に買主を探してもらいながら、一方で売主自身も買主を探すことができますが、仮に売主自身が買主を見つけた場合には、契約中の不動産会社に媒介依頼をした上で売買契約を結ぶことになります。

売主と専任媒介契約を結んだ不動産会社は、契約締結から7日以内に、対象物件の情報をレインズへ登録する義務を負います。
また、2週間に1度の頻度で、売却活動の内容や進捗を売主に報告する義務も負います。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、不動産会社1社のみと結ぶ媒介契約の1つ。
不動産会社に買主を探してもらう形が原則で、売主自身が買主を探すことはできません。

売主と専属専任媒介契約を結んだ不動産会社は、契約締結から5日以内に、対象物件の情報をレインズへ登録する義務を負います。
また、1週間に1度の頻度で、売却活動の内容や進捗を売主に報告する義務も負います。

投資用マンションの売却の流れ

投資用マンションの売却の流れは、一般的な住居用マンションの売却の流れとほとんど変わりません。
基本的には、不動産会社と媒介契約を結んだ上で売却活動を進め、買主を探します。

ただし、投資用マンションの売却の際には、一般的な住居用マンションの売却にはない「賃借人に対する地位承継通知」という特殊な手続きが必要となる点は覚えておきましょう。

以下、投資用マンションの売却の流れについて詳しく確認します。

売却価格の査定

特定の不動産会社と媒介契約を結ぶ前に、複数の不動産会社に対して売却価格の査定を依頼します。
投資用マンションの売却では、後述する通り「賃借人への地位継承通知」などの特殊な手続きが必要となるため、査定を依頼する場合には、投資用マンションの売買仲介に詳しい不動産会社を選ぶようにしましょう。

査定の金額は、各不動産会社によって異なります。
現実的に売れそうな査定額を提示する不動産会社もあれば、「頑張ってこのくらいの価格で売りたい」という希望的な要素も込められた査定額を提示する不動産会社もあります。
売主にとっては、査定額が高いほど魅力的な不動産会社に見えるかもしれませんが、必ずしも「査定額=売却価格」ではない点にご注意ください。

媒介契約の締結

不動産会社と媒介契約を結びます。
不動産会社同士で競争して買主を探して欲しいという場合には一般媒介契約が適していますが、より積極的な売却活動が期待できるという意味では、専任媒介契約や専属専任媒介契約のほうが適しているでしょう。

売却活動

不動産会社とともに、または不動産会社に一任する形で売却活動を始めます。
売却活動にあたっては、事前に投資用マンションとしての利点や想定利回り、賃貸需要の状況など、買主へ向けたアピールポイントをまとめておきます。

なお、住宅用マンションとは違い、投資用マンションは内覧ができません。そのため、買主に対して内覧の代わりとなる情報を用意しておく必要があります。
修繕履歴や新耐震基準の適合証明書、インスペクション結果報告書、物件内部の画像などを用意しておくと良いでしょう。

契約条件の交渉

購入希望者が現れたら、不動産会社をはさんで各種契約条件の交渉へと入ります。
この交渉段階で購入希望者は値下げを要求してくる可能性が高いため、あらかじめ値下げすることを想定し、やや高めの価格で売り出しておくことが基本です。

ただし、いかに早く物件を売却したいとは言え、唯々諾々と購入希望者の要求を飲む必要はありません。
値下げの下限ラインを設定し、それ未満の価格を要求してきた場合には、以後は交渉を辞めて別の買主を探すべきでしょう。

売買契約の締結

購入希望者との交渉で各種条件が合意に達した場合には、不動産会社に仲介してもらう形で売買契約を締結します。
この際、買主から売主に対し、売買代金の一部として手付金が支払われます。

売買契約に必要な書類等については、事前に不動産会社から詳細な説明があります。漏れなく用意して契約の場に臨みましょう。

物件の引渡しと残代金の受領

売主から買主に対して物件を引き渡すとともに、買主から売主に対して残代金が支払われ、売買契約は完了です。
所有権の移転登記を行い、物件のオーナーが売主から買主へと変わります。

賃借人への地位継承通知

売買対象となる投資用物件に賃借人が入居中の場合、賃借人に対し、その物件のオーナーが変わったことを「地位承継通知」という形で伝える必要があります。
「地位承継通知」は、旧オーナーと新オーナーの連名での実施が必要です。

なお、事前に入居者の同意を得る必要はなく、契約後に「地位承継通知」を行うだけで問題ありません。

確定申告

売買を通じて譲渡所得(売却益)が出た場合、売却した翌年に確定申告をし、譲渡所得税等の納税をすることになります。
逆に譲渡損失(売却損)が出た場合には納税する必要がありませんが、納税しなくても良いことの証明として、確定申告をしておきましょう。

なお、居住用マンションの売却で損失が出た場合には確定申告で給与所得等と損益通算できますが、投資用マンションの売却で損失が出た場合は譲渡所得以外との損益通算ができない点にご注意ください。

マンションの査定額を左右するポイント

以下では、一般的な不動産会社が考えている査定のポイントを10項目ほどご紹介します。

中古マンションの査定に関する解説はこちら

立地

駅からの距離、買い物環境、近隣の学校の有無、自然環境や治安などの立地条件は、マンションの査定額を大きく左右します。

階数や位置

階数が上に行けば行くほど査定額は上昇。南向きの部屋、角部屋などは、更に査定が有利になります。

広さや間取り

駅近であればワンルーム、駅から遠くであればファミリータイプなど、その立地のニーズに合った広さや間取りであれば、査定は有利になるでしょう。

築年数や構造

1981年6月1日以降に建築許可がおりた物件の場合、新耐震基準が適用されているため査定額は高くなる傾向があります。
また、一般的には、鉄骨造→鉄筋コンクリート造→鉄骨鉄筋コンクリート造の順で、査定額が高くなります。

管理状況

管理人の有無や共有部分の清掃・メンテナンスなどの管理状況は、査定額に影響を与えると言われています。

施工会社・販売会社

大手施工会社や大手販売会社が手掛けたマンションであれば、信頼感が高い分、査定額も高くなる傾向があります。

専有部分の傷み

床材や壁紙、水周りなどの専有部分の傷みの程度により、査定額が上下します。

共有部分の価値

オートロックや監視カメラ、宅配ロッカー、洗車スペースなど、共有部分が充実していればしているほど、査定額は高くなる可能性があります。

管理費や修繕積立費の支払い状況

専有部分に関連する管理費や修繕積立費の滞納があれば、その分、査定額は下がります。

駐車場

希望すればマンションの駐車場を利用できる状況かも基準になる可能性があります。
また、駐車場利用権の付帯等も査定額を左右するでしょう。

投資用マンションの売却にかかる費用

投資用マンションの売却に売主が負担する費用には、主に「仲介手数料」「抵当権抹消に関連する費用」「印紙税」の3種類があります。それぞれの内容を確認しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、投資用マンションの売買を仲介した不動産会社に対して支払う手数料を言います。

仲介手数料の額には法令上の上限があり、この上限額を超えた手数料を売主に請求することはできません。
上限よりも安くすることは不動産会社の自由ですが、基本的にどの不動産会社でも、上限額一杯の手数料を請求してくるものと考えましょう。

具体的な手数料の額は売買代金の額に応じ、以下のようになります。

  • 200万円以下の場合:売買代金の5%
  • 200万円超400万円以下の場合:売買代金の4%+2万円
  • 400万円超の場合:売買代金の3%+6万円

大半の投資用マンションは400万円超で成約すると思われるため、手数料は「売買代金の3%+6万円」になると考えておけば良いでしょう。
なお、仲介手数料には消費税が課税されます。

抵当権抹消に関連する費用

投資用マンションに抵当権が設定されている場合には、抵当権抹消に関連する費用がかかります。

抵当権抹消のための登録免許税は、不動産1個につき1,000円。
手続きを司法書士に代行してもらう場合には、司法書士報酬として別途15,000円程度がかかります。

印紙税

印紙税とは、「課税文書」に対してかかる税金の総称です。
不動産売買契約書は「課税文書」とされているため、売買代金に応じた金額の印紙税を納税しなければなりません。
収入印紙を購入し、不動産売買契約書に貼付する形で納税します。

なお、印紙税の額は売却代金によって変わります。

  • 500万円超1000万円以下の場合:10,000円
  • 1000万円超5000万円以下の場合:20,000円
  • 5000万円超1億円以下の場合:60,000円(※)

※2022年10月現在は軽減税率が適用中のため、それぞれ「5,000円」「10,000円」「30,000円」となります。
また、ここに掲載したのは一部のみなので、詳しくは国税庁の公式HPをご確認ください。

参照:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm

売却にかかる譲渡所得税について

投資用マンションの売却を通じ、譲渡所得(売却益)が出た場合、その金額に応じた譲渡所得税、復興特別所得税、住民税を納税する必要があります。
以下、これら税金の計算方法などについて確認しておきましょう。

投資用マンション売却における譲渡所得税の考え方

給与や事業所得と同様、投資用マンションの売却で利益を手にした場合にも、その利益の額に応じた所得税等の納税が必要です。

ただし、不動産の売却から得られた利益については、その不動産の所有期間に応じて税額の計算方法が異なります。
具体的な計算方法は次の通りです。

  • 不動産の所有期間が5年以下の場合
    譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
  • 不動産の所有期間が5年超の場合
    譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

なお、投資用マンションの売却によって譲渡損失(売却損)が出た場合には、いずれも課税されません。

譲渡所得が生じた場合には確定申告が必要

すでに上でも説明していますが、投資用マンションの売買で譲渡所得(売却益)が出た場合には、その翌年に確定申告をする必要があります。
税務署は不動産の動きを細かくチェックしていると言われているため、税務調査が入って追徴課税を課されることのないよう、必ず確定申告をして正しく納税するようにしましょう。

投資用マンションの売却と消費税

投資用マンションの売却に際し、不動産会社に支払う仲介手数料には消費税が課税されます。
一方で、売却の際に買主から預かった消費税については、状況に応じて納税しなければならない場合と、納税しなくても良い場合とがあります。

投資用マンションの売却と消費税との関係について詳しく確認しましょう。

消費税の課税対象となるのは仲介手数料と建物部分の代金

投資用マンションの売買において消費税の課税対象となるのは、不動産会社に払う仲介手数料と建物部分の売却代金です。
土地は消費されるものではないため、課税対象とはなりません。

仲介手数料の消費税については、売主と買主が不動産会社に支払い、不動産会社がそれぞれに代わって納税します。
建物部分の売却代金にかかる消費税については、買主が売主に支払い、買主に代わって売主が納税します。
それぞれ、商品やサービスを「消費する人」が消費税を負担するのです。

建物部分の消費税を納税するのは消費税の課税事業者のみ

消費税を納める義務があるのは、消費税の課税事業者だけです。
消費税の課税事業者とは、所定期間内において課税売上高が1000万円以上となった事業者のこと。
法人・個人事業主を問わず、その期間内に課税売上高が1000万円以上となった事業者には、消費税の納税義務が生じるのです。

個人の場合、売却の前々年の課税売上高が1000万円を超えているかどうかが基準。そうでなければ「免税事業者」となり、消費税を納める義務はありません。
例えば、売却の前々年にオフィス賃貸によって賃料を得ていて、消費税がかかる売上が1000万円を超えていた場合、売却時には消費税がかかります。

契約不適合責任を問われれば追加費用がかかる

売主は以後も契約不適合責任という法的義務を負い、場合によっては買主に対して何らかの補償をしなければならないことがあります。
売主が負う契約不適合責任について詳しく見てみましょう。

契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、売買の目的物が契約内容に適合していないことが判明した時、事後的にその補償を売主が負うという法的責任を言います。
かつては「瑕疵担保責任」という名前で知られていましたが、2020年4月の民法改正により、一部の内容に変更を加えた上で契約不適合責任という名称となりました。

投資用マンションで契約不適合責任を問われる例としては、例えば契約書内に「水周りの機能に問題なし」という記載があったにもかかわらず、引き渡し後に買主が確認したら水漏れしていたなどの場合です。
この場合、売主は買主の請求に応じて契約不適合責任を果たす義務が生じ、買主の負担で水漏れ箇所を修理するなど、適切に対応しなければなりません。

なお、買主が行う契約不適合責任の請求には、損害賠償請求、代金減額請求、契約解除請求、追完請求(引き渡しまでに完全な状態にすること)の4種類があります。

不動産会社の買取では契約不適合責任が免除される

不動産会社が仲介して行う一般的な不動産売買であれば、売主は買主に対して契約不適合責任を負います。
一方で、不動産会社が買主となる買取の場合には、売主は不動産会社に対して契約不適合責任を負わないことが一般的です。

買取後にリフォーム・リノベーションをすることを前提としていることや、買主が不動産のプロである以上は自ら事前に不具合に気付くべきとの考え方が、買取で契約不適合責任が問われない理由です。