売却

中古マンション売却のベストな時期とは?

2021年1月28日

中古マンションを少しでも有利に売却したいならば、売却する時期やタイミングをよく検討することが大切です。たとえば、不動産に関連する政策や税制、不動産相場などを考慮して時期を見ることも大事ですし、年間の不動産ニーズの変動を考慮して時期を見ることも重要になります。

売却時期をわずかに見誤ったばかりに、売却金額が大きく下がってしまうことがあるのが不動産売買の怖いところ。適切な時期での売却が実現するよう、ここでポイントをしっかりと押さえておきましょう。

相場・政策・税制・時事から見る、中古マンション売却時期

中古マンションの適切な売却時期について検討する前に、まずは近年の中古マンション相場についておさらいしておきましょう。

近年の中古マンション相場

2010年から2020年の10年間について見てみると、一戸建て住宅の価格相場にはほとんど変化がないものの、マンションの価格相場は約1.5倍にまで上昇しており(※1)、実に急激な価格上昇の勢いです。
マンションの価格上昇の背景には、景気回復を目的とした金融緩和政策や東京オリンピック開催への期待があるとされていますが、それら特定の理由だけではなく、都市部への単身世帯の流入など様々な理由が絡み合っているものと思われます。

※1 参考:国土交通省 不動産価格指数(令和2年9月・令和2年第3四半期分)
https://www.mlit.go.jp/common/001380849.pdf

新型コロナウイルス拡大後の中古マンション相場は?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、旅行業界や飲食業界をはじめ、国内外の実体経済が大きく混乱しています。国内で順調だった中古マンション相場も、この混乱に連動して低迷しているのでしょうか?

結論から言うと、2021年1月現在では、首都圏の中古マンション相場は新型コロナウイルスの影響をそれほど強く受けていないようです。
新型コロナウイルスの脅威が明るみになり、日本で2020年3月から緊急事態宣言が出された時期には、首都圏の中古マンション相場も一時的に急落しましたが、5月には相場が反転し、6月にはほぼ暴落前の水準まで相場を戻しています。新型コロナウイルスの第三波が続く1月現在も、少なくとも現段階ではまだ相場が崩れてはいないようです。
これらの状況を踏まえると、国内、少なくとも首都圏では、中古マンション相場における新型コロナウイルス感染拡大の影響は現状あまり大きくないと言えるでしょう。

参考:レインズ 月例速報マーケットウォッチ サマリーレポート(2020年12月版)
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202012_summary.pdf

政策・税制・時事との関係

新型コロナウイルス感染拡大の影響も大きくなく、国土交通省発表の「不動産価格指数」(※2)によれば近年上昇傾向にある国内の中古マンション相場ですが、これら堅調な相場付きの背景には、経済政策や税制などの支えがあることも理解しておかなければなりません。
逆に言えば、今後経済政策や税制が変更された場合には、その内容によって中古マンション相場も連動して崩れる恐れがあるので注意が必要です。

※2 参考:国土交通省 不動産価格指数(令和2年9月・令和2年第3四半期分)
https://www.mlit.go.jp/common/001380849.pdf

住宅ローン減税を背景にしたマンション購入ニーズ

マイホームを購入した人のローン金利の負担軽減を目的に、政府は住宅ローン減税制度と呼ばれる政策を実施しています。 具体的には、毎年の住宅ローン残高の1%について、所定の要件を満たすと10年間にわたり所得税から控除できる制度。所得税で控除しきれない場合には、住民税からも一部控除されます。

住宅ローン減税は現在、控除期間が原則の10年から13年に延長されています(2022年末の入居まで)。一方で2022年度以降には、控除率が現状の1%から引き下げられる検討がされる見通しです。優遇の内容が充実している時期にはマンション購入ニーズが維持されるでしょうが、税制が見直されると、需要が減ってしまう恐れがあります。

低金利政策を背景にした中古マンション購入ニーズ

景気回復に向けた金融政策の一環として、2021年現在、日銀は超低金利政策を継続中です。
この超低金利政策が続いている間は、住宅ローンの借入金利も低いため、個人は住宅を購入しやすい状態となります。すなわち、超低金利政策が続いている限りは、中古マンションの高い購入ニーズも続いていくものと考えられます。

現在の税制や経済政策は永久に続くものではない

住宅ローン減税や超低金利政策を背景に強い中古マンション購入ニーズは続いていますが、中古マンションの売却に有利なこれらの税制や経済政策はいつまでも続くものではありません。いつかは政策の終焉を迎え、中古マンションの価格相場は、今よりは落ちついた状態になる可能性があります。
だからこそ中古マンションの売却をお考えの方は、税制や経済政策に常にアンテナを張り、売却の時期(タイミング)を逃さないようにすることが大切です。新聞やテレビを通じ、日ごろから政府の政策に関心を持つようにしていきましょう。

年間のニーズ変動から見る、中古マンション売却時期

税制や金融政策のタイミングに加えて、さらに有利な条件でマンションを売却するためには、年間のニーズ変動も加味して時期を考えると良いでしょう。

2月・3月はマンション中古マンションの成約件数が増える時期

公益社団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表しているデータ(※3)によると、例年、2月・3月の時期は、中古マンションの成約件数が多くなる傾向があるようです。
2月・3月に成約件数が多くなる理由として、転勤や進学などに合わせて4月に転居する人が多いからと考えられます。転居するためには一定の準備期間が必要なので、タイミングとしては2月・3月での成約を目指して中古マンションを探す人が多くなるのです。

なお、2月・3月での中古マンションの成約件数が高くなる=この時期を目指した購入ニーズが高いので、売却価格が上がるかもしれないと想像しがちですが、価格面で見た場合には、かならずしも他の月と比べて高くなるわけではありません。逆に、次に挙げる理由により、2月・3月の売却が不利になることもあるので注意しましょう。

※3 参考:レインズ 月例速報マーケットウォッチ(2015年12月~2020年11月版)
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201512data.pdf
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201612data.pdf
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201712data.pdf
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201812data.pdf
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_201912data.pdf
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_202011data.pdf

同時期には競合も多くなる可能性がある

2月・3月に中古マンションの購入ニーズが高まると言うことは、見方を変えれば、この時期を狙ってマンションを売りたいオーナーたちの売却ニーズも高まるということ。つまりこの時期を狙った中古マンション売却の競合が増える可能性があるということでもあります。
競合が多すぎるエリアでは、よりリーズナブルな価格のマンションを求める動きが高まり、思ったように売却価格を上げることができなくなるかもしれません。
あるいは競合する類似の物件と比較され、購入希望者から値下げを要求される可能性もあるので、2月・3月だからと言って必ずしも有利にマンションを売却できる保証はない、ということを理解しておきましょう。

売却予定のマンションと競合する可能性のある物件は、主に2つに分けられます。

近隣の類似物件

近隣で類似の物件が売り出されている場合、確実に競合となるでしょう。
購入を検討している人は、それらの物件の設備や外観、築年数、売り出し価格、立地、環境などをよく比較し、総合的な視点から最も納得できる物件をセレクトします。競合に比べて条件が見劣りする場合、価格を下げざるを得ないかもしれません。

同じマンション内の別室

同じマンション内の別室が同時期に売りに出されていると、競合になることもあります。
同じマンション内で同じ条件の物件だったとしても、売り出し価格が同じとは限りません。少しでも早く現金化したい事情のある売主ならば、競合より安めに売り出し価格を設定してくる可能性があります。そのような状況では、相場通りの価格で売り出している物件は売れにくくなります。
同じマンション内に競合が現れた場合、基本的には価格競争になってしまうことを心得ておきましょう。

つまり競合が存在する物件については、2月・3月の売却にこだわったとしても必ずしも売却に有利になるとは言い難いので、そこに固執せず一年を通して柔軟な姿勢で売却活動をしていくことが重要です。

中古マンション売却準備は早めにするのがおすすめ

ではマンションの売主側は、いつ売り出しに向けた行動を起こせば良いのでしょうか?

結論を言うと、年間を通じて最もニーズが高まると考えられる2月・3月を狙うのであれば、売主は、遅くともその6ヶ月前には売却活動を始める(=不動産仲介業者と仲介契約を結ぶ)べきでしょう。なぜなら、マンションの購入希望者は、契約の半年ほど前から不動産を探し始めるからです。
そこで、マンションを購入する人の一般的な住まい探しのスケジュールをみてみましょう。

中古マンションを購入する人の時期的な行動パターン(例)

引っ越しから4ヶ月前(12月)

不動産会社に何度か足を運び、実際に住む物件の候補を絞り込む段階。必要に応じ金融機関を訪問し、住宅ローンの相談も始めます。

引っ越しから2ヶ月前(2月)

候補として絞り込んだ物件の内覧、売主や不動産やとの価格交渉などを行います。多くの場合、この段階で売買契約を締結します。

引っ越しから1ヶ月前(3月)

翌月の引っ越しに備え、引っ越し業者を手配したり粗大ごみの処分を行ったりなど、具体的な準備を行います。

引っ越し・入居

無事に売買が成立し、引っ越しが完了します。

購入者の行動パターンに合わせて早めに売却活動をする

上記のように、物件探しと成約の間には数ヶ月のズレが生じます。
つまり、成約が多い2~3月などの時期に売却活動を始めても遅いと考えてください。成約件数が増える時期に活動を開始するのではなく、購入希望者の動きに合わせて早めに活動をすることが必要となってきます。

マンションの購入は一生の中でも大きなイベントなので、より早く物件を探し始める人も多いはず。そのように考えると、売主は、時期を問わず少しでも早く売却活動を始めたほうが良いかもしれません。

今回のまとめ

以上、中古マンションの売却をお考えの方に向け、経済政策や税制から見た売却時期、年間のニーズ変動から見た売却時期、および買主の行動パターンから見た売却時期などについて詳しく見てきました。

中古マンションの売却をお考えの方は、まずは「中古マンションの成約件数が多い時期が存在する」ということを、前提として理解しましょう。そのうえで、売却タイミングを逃さないよう、常に日銀の金利政策や政府の不動産税制などにアンテナを張っておくことをおすすめします。
一方で、マンションの成約件数が多い時期には、競合が増えることも覚えておいてください。競合の状況によっては、2月や3月であっても理想通りの価格で売れない場合があるので、状況に応じて売却時期を柔軟に考えることも大切です。
また、マンションの売れやすい時期に売却活動を始めるのではなく、買主側の行動パターンを考慮し、より早めに売却活動を始めることが重要。売却したい月から逆算し、目安として半年前には不動産会社と仲介契約を結びましょう。

普段から不動産市況を気にしつつマンションの売却タイミングをじっくり見計らっている人でない限り、実際にご自身の持つマンションを理想的なタイミングで売却することはなかなか難しいものです。

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