管理・運用

マイホームのマンションを賃貸に出すことはできる?

2022年06月24日

自分が暮らすつもりで購入したマンションも、転勤・転職や介護、子どもの教育など、様々な事情から転居せざるを得ないことがあるでしょう。
そういった場合、居住用に購入したマンションを賃貸に出し、将来的に再び自分が住みたいと考える方もいらっしゃるかと思います。ここでは、自宅のマンションを賃貸に出す場合に注意するべきポイントを解説しますので、マイホームの計画を立てる際に参考にしてみてください。

居住用マンションは賃貸に出せる

マイホームとして住むために購入した居住用のマンションは、賃貸に出すことができます。自分が住むために購入した時点で人に貸せなくなるという規則や法律などはありません。

ただし、住宅ローンを完済していない場合や、借家契約の種類など、貸し出す際には気をつけなければならないポイントがあります。

居住用マンションを賃貸に出す際の注意点

居住用マンションを賃貸に出す場合に気をつけるべき事項を説明します。大切な資産であるマンションを守るためにも、金融機関への相談と借家契約の内容理解をしっかり行いましょう。

住宅ローンを利用している金融機関に許可を得る

まず、住宅ローンを借りている金融機関へ相談し、ローンを組んで購入した自宅を賃貸に出してよいかを確認することが必要です。

住宅ローン返済中にも関わらず、金融機関への申告や不動産投資用ローンへの借り換えをせずに賃貸に出した場合、住宅ローンの一括返済を求められるといったペナルティがあるかもしれません。
住宅ローンは居住用マンションの購入に使われることを前提にしており、融資を受けた本人や親族の居住が利用条件の一つだからです。

ちなみに、居住用マンションを賃貸に出す場合、一般的には金融機関から不動産投資用のローンへの借り換えを求められます(※)。しかし、不動産投資用のローン金利は住宅ローンより高く、審査基準も厳しくなるので、返済計画は慎重に確認することが必要です。

※金融機関によっては、「やむを得ない転勤期間中だけ賃貸に出す」といった条件つきで、住宅ローンのままで賃貸に出すことを認めるケースも存在します。

借家契約の種類は「定期借家契約」にする

借家契約には、大きく分けて普通借家契約と定期借家契約の2つがありますが、賃貸に出した後で自分がまた住む可能性がある場合は後者がおすすめです。

定期借家契約は、期間を定めて契約することができ、期間満了とともに契約が終了します。例えば、貸し出す期間を2年間として契約した場合、2年後には確実に借主が退去するため、自分が住むことができるのです。

一方、普通借家契約は契約期間を「1年以上」と定め、契約更新時に借主が更新を希望すると貸主は拒否できない方式です。
例えば2年契約を結んだ場合、賃貸に出してから2年後に自分が住みたいと思っても、借主が退去してくれるとは限りません。借主の転居をひたすら待つことになるケースも考えられるのです。

収支計画の確認事項

居住用マンションを賃貸に出す場合、最も重要なのが収支計画です。税金の控除が無くなることや、賃貸に出す際に費用がかかることを把握しておきましょう。

適用されなくなる税金の控除

自分がそのマンションに居住していることで得られる税金の控除がありますが、賃貸に出すとそれらのメリットが無くなります。

住宅ローン控除

自宅だったマンションを賃貸に出すと、「住宅ローン控除」を受けられなくなります。住宅ローン控除とは、入居時から10年間、年末時点の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税が控除される制度です。

例えば、年末の住宅ローン残高が3,000万円、住宅ローン控除の割合が0.7%であれば、21万円の所得税が還付されますが、物件に自分が居住しなくなった場合はこれが適用されなくなります。

売却時の特別控除

自分が住んでいるマンションを売却した場合は「3,000万円特別控除」を受けることができますが、マンションを賃貸に出していると適用対象外になります。

「3,000万円特別控除」とは、住宅を売却して適用要件を満たせば、譲渡所得(売却益から経費を差し引いたもの)のうち3,000万円が所得税・住民税から控除される制度です。譲渡所得が3,000万円を上回った場合は3,000万円、3,000万円以内であれば全額が控除されますが、それが無くなります。

賃貸に出す際に必要な費用

ここでは、賃貸に出すため・出した後にかかる費用について確認しましょう。

居住用の物件を賃貸に出す際には、様々な費用がかかります。賃貸に出すことでかかる費用とローン返済額が家賃収入でカバーできるのか、正確に計算しておくことが必要です。

クリーニングや修理の費用

賃貸に出す場合、室内を綺麗にするための費用がかかります。
「こまめに掃除をして綺麗に使っていた」と思っていても、部屋を他の人に渡す際はプロによるクリーニングをするのがマナーです。賃貸物件の契約内容にも、退去時には敷金からハウスクリーニング代を差し引いて借主に返金するというものが多く見られます。

また、設備が故障している場合は、その修理が必要です。入居後に起きた故障についても、借主が故意に壊した場合以外、修理費用は貸主負担になります。
さらに、水回りが古いといった設備面の不足から、入居者がつかないことも。状況によってはリフォームやリノベーションを検討するべきかもしれません。

これらを総合して、賃貸する部屋の準備にかかる費用を計算しておくことが必要です。

管理会社への手数料

賃貸に出すマンションの管理を不動産会社に委託する場合、管理委託手数料が必要になります。管理委託手数料の金額は、賃料の3~10%が相場です。

貸主が自分で管理すれば手数料はかかりませんが、専門的な知識と労力が必要であり、貸主の本業と両立させるのは簡単ではないでしょう。
管理を委託すると、賃貸借契約の締結や解約時の手続きなどはもちろん、緊急対応の窓口も管理会社が代行します。基本的には、貸主が借主と直接やりとりする必要が無くなるのです。

各種税金

自宅マンションを貸し出して得た家賃収入も課税対象です。賃貸に出す前と比べて所得が増えたことになり、住民税が上がります。

また、賃貸に出しても自分の所有する不動産であることは変わらないので、固定資産税や都市計画税の納税も必要です。ただし、賃貸に出している場合、固定資産税や都市計画税は経費に計上して確定申告で所得から控除できます。

確定申告について詳しくはこちら

管理費や修繕積立金

分譲マンションの区分所有者は、管理費と修繕積立金を支払う義務があり、賃貸に出している期間も同様です。賃貸に出している場合は、管理費と修繕積立金を経費として損金算入できるため、所得税を節税できます。

今回のまとめ

居住用に購入したマンションは、賃貸に出して家賃収入を得ることができます。

その際、住宅ローンが残っている場合には、金融機関への相談が必要です。住宅ローンから不動産投資用ローンへの借り換えを求められるケースもあるでしょう。
また、賃貸に出したマンションに将来的に再び住みたいのであれば、借主との契約は定期借家契約にしておき、戻るタイミングで入居者がいないようにするのがおすすめです。

賃貸に出す時は、収支計画も重要なポイント。賃貸に出すことでかかる費用・受けられなくなる税金の控除がある一方で、新たに受けられる税のメリットについても確認しましょう。それらを踏まえて収支計画に問題が無いか、事前の綿密な計算が必要です。

Myアセットでは居住用不動産・投資用不動産どちらも取り扱っており、将来的に用途を切り替えたいというご相談も承れます。
また、物件の売買だけでなく管理委託も対応しておりますので、不動産の購入や自宅の賃貸を検討されている方は、実績豊富なMyアセットにぜひお問い合わせください。