不動産に関わる税金

マンション投資の初心者に!確定申告の意味から手順まで徹底解説

2022年06月24日

不動産投資を始めたら、確定申告を行いましょう。会社員としての収入については会社が納税してくれているため、自分で申告・納税するという経験が無い人もいることでしょう。そこで、会社員が不動産投資を始めるときに必要となる「確定申告の知識」について解説します。

確定申告とは?

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得の申告を行って、所得税を納めるための手続きです。次の年の2月16日から3月15日までに税務署で行います。
給与所得以外の所得が20万円以上なら確定申告が義務付けられていますが、払いすぎた税金が戻る可能性があるため、不動産投資では赤字の場合でも確定申告を行うことがおすすめです。

会社からの給与にかかる所得税は会社がまとめて納めており個人での対応が不要なので、給与以外の収入が無い方は、確定申告について馴染みが無いかもしれません。
税金の還付について、仕組みや方法を解説していきます。

払い過ぎた税金が戻る場合

確定申告を行うと、税金が還付されることがあります。
固定資産税などの租税公課・保険料・減価償却費・修繕費・借入金利息・管理費などを家賃収入から必要経費として差し引き、不動産投資の決算が赤字の場合です。

会社員の所得税は会社が納めてくれていますが、個人で行う不動産投資が赤字であると、損益通算によって給与収入の所得から不動産所得の損失分を控除できます。その結果、税金を払い過ぎている状況になるので、払い過ぎた税金が還付されるのです。

確定申告の種類 青色申告と白色申告

確定申告には「青色申告」「白色申告」と呼ばれる2種類が存在します。

青色申告の特徴

青色申告は、白色申告よりも複雑な手続きになる代わりに所得税額を抑えられる方式です。

青色申告を行うと、所得税について最大65万円の特別控除を受けられます。また、赤字を3年間繰り越すことも可能です。

ただし、複式簿記での記帳や多数の書類が必要になるため、慣れないうちは複雑に感じられるでしょう。
また、青色申告を行うためには、事業開始後2カ月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

白色申告の特徴

白色申告は、青色申告よりも手続きが簡単で必要書類も少ない方式です。

確定申告の収支内訳書に売上や経費を記帳すれば、申告が完了します。また、複式簿記よりも簡単な単式簿記での記帳が可能です。

しかし、青色申告と比較すると、特別控除を受けられないことや3年間の赤字繰り越しができないことがデメリットになります。

確定申告を行う方法

確定申告を適切に行うための流れについて解説します。

1.提出書類を準備

収支内訳書・青色申告決算書、医療費控除の明細書、社会保険料控除証明書などを用意しましょう。
また、不動産関係の書類として、物件の売買契約書や賃料入金明細書、固定資産税の明細書なども準備しておく必要があります。

2.帳簿を整理し、1年分の決算書を作成

スムーズに進めるためには、帳簿は小まめに記帳し、それを証明する請求書や領収書なども保管しておくことが必要です。

3.準備した書類を元に確定申告書を作成し、税務署に提出

申告書の作成が難しいと感じる方は、税務署に開設される確定申告会場で相談しながら作成することが可能です。
また、地域によっては税理士会や商工会が相談の場を設けてくれている場合があるので、こちらを利用するのも良いでしょう。
いずれも予約を必要とすることが多いので、事前の確認をおすすめします。

ちなみに、専用のWebサイトでフォームを埋めるように確定申告書を作成することも可能です。
マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、税務署への提出もWebからできますので、慣れてきた後はこちらを利用すれば、より時間をかけずに済むでしょう。

確定申告に必要な書類

不動産投資の確定申告で関係する書類を確認しましょう。書類の中には、税務署に提出の必要は無く、保管のみをしておけば良いものもあります。

税務署に提出するもの

源泉徴収票

不動産所得と合算した所得税を算出するための書類です。給与所得がある会社員であれば、職場からもらうことになります。

物件の売買契約書

不動産取引の売買契約書です。不動産の売却があった場合は不動産会社から受け取り、譲渡所得税の計算に用います。

不動産投資ローンの返済予定表

ローンを返済する期間と金額が記載された書類で、金融機関から受け取ります。ローンを返済する際、金利の分は不動産所得から差し引くことができますが、それを証明するために必要です。

ただし、不動産所得が赤字の場合、土地取得部分にかかる金利を経費計上できません。

保険料の証書

火災保険・地震保険などに加入していると、保険会社から送られてきます。控除を受けるためには、税務署への添付または提示が必要です。

保管しておくべきもの

賃料入金明細書

管理会社からオーナーに送られてくる、家賃収入を確認する書類です。
礼金や更新料、共益費として徴収する電気代や水道代なども収入として記載されている他、支出として管理や宣伝にかかった費用が記載されています。

賃貸借契約書

賃料入金明細書と同様に、家賃収入を確認する書類です。

不動産事業に関係する経費の書類

「賃貸事業の経営にかかる経費」となる支出を証明するための書類です。
経費計上に使える書類には以下のようなものがあります。

  • 管理費・修繕積立金等の明細
  • 水道光熱費・交通費などの領収書
  • 設備点検や清掃の費用明細・請求書(管理会社を通さない場合)
  • 不動産投資に使う通信費の明細やソフト・アプリの領収書(不動産投資に関係する割合だけ按分する必要があります)
  • 税理士や司法書士に支払った報酬の領収書
  • 不動産投資のために使った交際費の領収書
  • 物件や不動産会社などへの移動や宿泊にかかった交通費・旅費の領収書
  • 不動産投資に使う自動車にかかったお金の明細・領収書(不動産投資に関係する割合だけ按分する必要があります)

固定資産税・都市計画税課税明細書

不動産を所有していることでかかる固定資産税・都市計画税の税額を確認する書類です。その年の1月1日時点における不動産の登記名義人に、4~6月頃に届きます。
固定資産税・都市計画税も、この書類を提出すれば経費として扱うことが可能です。

例えば、自宅を事業場として使用している場合、家賃を仕事で使用している分だけ経費として扱えます。
これと同じように、投資用不動産にかかる固定資産税・都市計画税も、事業を営む上で使用しているので、経費として全額計上できるのです。

収入印紙税・登録免許税の領収書

不動産取得の際に支払った税金の額を確認するための書類で、いずれも登記を行った際に領収書を受け取っているはずです。
ただし、司法書士に代行を依頼している場合、実費として支払っているため、この書類は不要になります。

確定申告を正しく行わなかった場合

確定申告を忘れてしまったり間違えたりすると、追徴課税を支払うことになります。3種類の追徴課税「延滞税」「無申告加算税」「過少申告加算税」について確認しましょう。

延滞税

法定納付期限までに税金を納付しなかった場合に、納付期限の翌日から全額納付までの日数を元にして計算・課税されます。

また、手続きの期限後、誤りを発見・修正されたにも関わらず適切な額を納付しない場合も対象です。

無申告加算税

確定申告の期限までに確定申告書を提出せず、納付すべき税金があった場合に課税されます。

ただし、以下の条件を満たすと課税されません。

  • 申告期限から1カ月以内に自主申告している
  • 納付すべき税金を法定期限までに全て納付した
  • 過去5年に無申告課税や重加算税(※)が課されていない
  • 期限内申告の意思があった

※納税の不備が悪質なものであると確認された場合に追加で課される税。

過少申告加算税

確定申告期限に確定申告書を提出したものの、申告額が少なかったために修正の必要があり、追加本税がある場合に課税されます。

今回のまとめ

確定申告とは、1年分の所得を税務署に申請して所得税を納める手続きのこと。不動産投資を始めて1年間の不動産所得が20万円以上になると、翌年2月16日から3月15日の間に手続きが必要です。

青色申告・白色申告に関係なく、確定申告を行って損益通算で課税所得を圧縮できれば、税金が還付されます。
さらに青色申告であれば、白色申告にはない所得税の特別控除を最大65万円受けたり、不動産投資の赤字を3年間繰り越せたりと、損益通算による所得圧縮をさらに受けやすくすることが可能です。

確定申告を適切に行うためにも、日々の記帳を行い、必要書類を収集・保管しておきましょう。また、最初は手続きが難しいと感じるかもしれませんが、税務署や地域でサポートしてくれる会場や、Web上で確定申告書を作成できるツールも存在します。
確定申告を忘れたり納税額を間違えたりしてしまうと追徴課税を支払う必要があるので、慎重に進めていくべきです。

確定申告をはじめとして、不動産投資をご検討の方は様々なご不安を抱えていらっしゃることと存じます。Myアセットは投資用不動産の運用をトータルでサポートいたしますので、不動産投資に関わる様々な手続きのことも安心です。ぜひお気軽にご相談ください。