不動産投資の基礎

重要事項説明で説明される内容は?「IT重説」とは?

2022年01月28日

不動産取引における重要な手続きの一つとして、重要事項説明(重説)があります。

重要事項説明の具体的な内容や実施されるタイミング、重要事項説明をリモートで行う「IT重要事項説明」の概要などを解説しますので、これから不動産の取引に関わる方はぜひご参考ください。

重要事項説明とは

重要事項説明とは、不動産を売買するにあたって、対象の不動産に関する事項を不動産会社から買主に説明する手続きです。略して「重説」と呼ばれることも。
不動産会社は、買主にとって契約上重要な情報を整理して書面(重要事項説明書)にまとめ、それを売買契約前に説明するという法的な義務を課されています。

不動産売買において、不動産の特徴・制約や取引条件などは、買主にとって非常に重要な情報。
しかし、買主がそれらを自力で調査することは困難であり、負担になる場合も少なくありません。買主が把握する機会が無いまま不動産取引を進めてしまうと、買主が不利な立場に置かれてしまうおそれもあるでしょう。

雨漏り・シロアリなどの瑕疵(不動産の不具合や欠陥)や自然災害の危険性が高い地域であることを、物件を購入した後で知るといったトラブルから買主を保護するために、重要事項説明の制度があるのです。

ちなみに、重要事項説明は​​不動産会社であれば誰でも実施できるわけではありません。
買主が正しい説明を受けられるように、不動産取引に関する国家資格である「宅地建物取引士」の有資格者が重要事項説明を行うと定められています。

重要事項説明が行われるタイミング

重要事項説明が実施される一般的なタイミングは、申込書提出と売買契約締結の間です。
投資用不動産の購入は下記のような流れで進みます。

  1. 購入する物件探し
  2. 目星をつけた物件について問い合わせや内覧で情報収集
  3. 申込書提出・ローン申し込み
  4. 申込書が受理されて物件購入が確定
  5. 重要事項説明
  6. 売買契約書の締結
  7. 購入代金の決済・物件の引き渡し

売買契約書を交わす前の最後のタイミングで重要事項説明を受けるので、疑問点や想定と異なる部分がある場合はここで全て解消しておくことをおすすめします。

説明される内容

重要事項説明でどのような説明をされるのか、主な内容を項目ごとに見ていきましょう。

重要事項説明を受ける際に注意するべきポイントの解説はこちら

物件について

購入する不動産の特定(対象となる不動産が間違いないことの確認)や、不動産の状態に関する説明です。

対象の不動産に間違いがなければ、物件に所有権以外の権利が付着していないかを確認します。
抵当権(※)や借地権が設定されている場合、買主の使用が制限されてしまうのです。

また、水道・電気・ガスといったインフラや、設備の整備状況などの説明を受けます。
物件の利用や増改築について、都市計画法や建築基準法などの法令に基づいた制限がある場合は、その説明もあるでしょう。
物件がマンションやアパートの区分所有であれば、共有部分に関しての規約や、専有部分・専用使用部分にどのような利用制限があるかなども含まれます。

契約の解除について

何らかの事情により売買契約を解除する場合について説明されます。

不動産投資ローンの本審査に通過しなかった買主が売買契約を解除できるかどうかをはじめ、契約解除時の手付金返還・違約金の有無などです。

※ローンを利用する際に金融機関が担保として設定する権利。
抵当権について詳しい解説はこちら

IT重要事項説明とは

IT重要事項説明(略してIT重説とも呼ばれる)とは、不動産の売買や賃貸における重要事項説明を、オンラインで実施することです。 従来、重要事項説明は直接会って行われていましたが、令和3年3月30日からは一定の要件を満たす場合にオンラインでも行えるようになりました。

実施のための要件

IT重要事項説明を実施するには、以下4つの要件を全て満たさなければなりません。

①双方向でやりとりできるIT環境において実施する
重要事項説明の書類や図面をきちんと確認できる映像や、お互いの音声を十分に聞き取れる環境が必要です。

②重要事項説明書等を事前に送付してもらう
実施前に、重要事項説明書や添付書類を不動産会社から送付してもらいましょう。

③互いに必要な書類とIT環境の準備が整ったことを確認する
不動産会社側から、重要事項説明書や添付書類を見ながら説明を受けられる状態であることと、映像と音声に問題がないことを確認されます。
それぞれ準備ができたらその旨を伝えましょう。

④宅地建物取引士証を画面上で確認する
重要事項の説明を行う宅地建物取引士が、有資格者の証明である宅地建物取引士証を画面上で提示してくるので、買主はその宅地建物取引士証をしっかり確認をする必要があります。

メリット・デメリット

IT重要事項説明は、購入対象の不動産や仲介してくれる不動産会社が遠方であっても重要事項説明を受けやすいのがメリット。移動時間・費用の負担が軽減されるほか、説明を受けるための日程調整もしやすくなります。

デメリットは、カメラ・音声・セキュリティなどが揃ったパソコンやタブレットなどの準備が必要になることです。操作に不慣れな場合は、当日に迷わないよう調べておきましょう。
また、インターネットの接続環境が悪いと説明を受けられないので、普段のインターネット速度に不安がある方はIT重要事項説明を控えるか、その旨を事前に相談しておくことをおすすめします。

今回のまとめ

重要事項説明とは、不動産売買に際して買主が知っておくべき事項を、不動産会社から説明するための手続きです。
買主の利益を保護するために行われる法的な制度であり、重要事項説明を実施できるのは国家資格「宅地建物取引士」の有資格者に限定されます。
主な内容は、法的規制があるかどうかといった物件自体に関する情報に加え、手付金や違約金などの取引条件についてです。

また、令和3年3月30日から、一定要件を満たす場合に重要事項説明をオンラインで実施できる「IT重要事項説明」も開始されました。
購入する不動産や担当の不動産会社が遠方であっても重要事項説明を受けられ、移動の時間や費用を削減できるのがメリットですが、機器やソフトの操作に不慣れ・インターネット環境が不安定などの場合は利用できない可能性があるので、状況に合わせた使い分けがおすすめです。

Myアセットは不動産投資の専門的なアドバイスを多数行ってきた実績があるだけでなく、IT重要事項説明にも対応しています。
できるだけ対面を避けて重要事項説明を行うことが可能なので、不動産投資の開始にあたって柔軟な対応をご希望の方はぜひMyアセットにご相談ください。