不動産投資の基礎

不動産小口化商品のメリット・デメリットを不動産会社が解説

2022年03月18日

不動産小口化商品は、少額の資金から始められる不動産投資の方法です。今回は、不動産小口化商品について詳しく解説します。通常の不動産投資や、同じように少額で不動産に投資できる「REIT」と比較しながら、メリット・デメリットを確認していきましょう。

不動産小口化商品とは

「不動産小口化商品」とは、1つの不動産を複数の出資者で購入して利益を分配する仕組みで、少額から不動産投資を行うことができます。販売する事業者は「不動産特定共同事業者」と呼ばれ、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けることが必要です。

不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品には、「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸型」の3種類があります。

匿名組合型

事業者が投資家から出資を募り、事業によって得た利益を投資家に分配する仕組みです。投資家と事業者の間では資金のやり取りがあるだけのシンプルな形態で、1口数万円程度・数ヶ月程度という不動産投資としては少額かつ短期の出資ができます。

任意組合型

出資した複数の投資家が事業主体となって事業を行い、共同事業によって得た利益を投資家に分配します。
募集条件が1口100万円以上・10年以上という商品が多く、長期運用で安定した収益を目指す形態です。

任意組合型では出資者が不動産の共同所有者になるため、相続税対策にも有効。
金銭出資以外に、現物出資(具体的なモノや債権、ソフトウェアなどによる出資)や労務出資もできます。

賃貸型

複数の投資家で購入した不動産を不動産特定共同事業者に賃貸し、運営してもらう仕組みです。
任意組合型と同様、投資家の名前が登記簿に記載されて相続税の節税ができ、1口100万円以上・10年以上という募集条件のものが多くあります。

不動産投資やREITとの違い

不動産小口化商品は、通常の不動産投資やREIT(※)とは異なるメリット・デメリットがあります。それぞれと比較した不動産小口化商品の特徴を確認しましょう。

※不動産を運用する会社に対して、証券購入という形で投資する方法。複数の投資家から出資して不動産を購入する点で不動産小口化商品と似ています。
REITについての詳しい解説はこちら

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品には、費用や手間などの面でメリットがあります。

初期費用が少なく済む

個人で投資用不動産を購入する場合は大きな資金が必要ですが、不動産小口化商品を購入する場合は、初期費用が少なく済みます。これはREITと同様の特徴です。
初期費用が抑えられる投資であるため、リスクを分散するための資産として保有するといった活用方法もあります。

物件を不動産のプロが選んでくれる

不動産小口化商品の投資対象は、REITと同様にプロが物件を選びます。
初心者が投資用不動産を購入するにあたって、安定した賃料を得られたり将来的に価値が上昇したりする物件を探すことは簡単ではありません。
不動産小口化商品は不動産会社が物件を見極めてくれる上、仲介市場に出ない優良物件を探し出してくれる可能性もあります。

自分で不動産を管理する必要が無い

不動産小口化商品では、不動産管理を専門の会社が行うため、投資家としては手間がかかりません。
通常の不動産投資であれば、入居者の募集をはじめとして、家賃回収や定期的な清掃・メンテナンスなど、不動産管理の手間は避けられないでしょう。
なお、REITでは証券購入という形で出資するため、同様に不動産管理は不要です。

不動産保有者の立場で資産を運用できる

不動産小口化商品に投資する場合は、REITに投資する場合と異なり、不動産を共同で保有することになります(匿名組合型を除く)。
通常の不動産投資と同様、実際に不動産を保有することにこだわりたい方や相続税対策をしたい方にとってメリットと言えるでしょう。

不動産小口化商品のデメリット

不動産小口化商品は、以下の3点がデメリットになり得ます。

不動産投資ローンを使えない

通常の不動産投資では物件購入時に金融機関から融資を受けることが可能ですが、不動産小口化商品では融資を受けられません。つまり、不動産投資ローンを使えないのです。
REITと同様、比較的小さな資金で投資できるものの、基本的には全額自己資金での投資になります。融資を受けられないことで、レバレッジ効果(※)を出せないという点もデメリットになるでしょう。

※融資を受けて投資を行い、自己資金のみで投資を行うよりも高い投資効果を出すこと。
レバレッジ効果についての詳しい解説はこちら

投資先の選択肢が少ない

不動産小口化商品の種類は多くなく、投資家から見て選択肢が豊富とは言えません。たくさんの投資先を比較検討したい方は、不安や物足りなさを感じる可能性があります。
また、1つの投資対象に希望者が殺到し、定員に達してしまい契約ができないことも。少ない商品に投資家が集まるため、不動産小口化商品への投資においては最新情報を逃さないことが大切です。

通常の不動産投資より利回りが低い傾向にある

不動産運用を会社に委託するため、運用手数料によって通常の不動産投資よりも利回りが低くなってしまいます。
投資家が物件を選んだり管理したりする必要が無い分、その費用がかかると考えましょう。

今回のまとめ

不動産小口化商品とは、少額資金から始められる不動産投資の方法です。複数の投資家が出資して不動産を購入し、その利益を分配します。
似た形態にREITがありますが、「任意組合型」「賃貸型」の小口化商品であれば不動産の共同所有者になって相続税対策にも活用できる点が大きな違いです。ただし、「匿名組合型」では不動産の所有者にならず、節税はできないので、目的と合っているかどうかを投資前に確認しましょう。

不動産小口化商品に投資した場合は不動産管理を専門の会社が行うため、家賃関係やメンテナンスなどの手間がかからないことも特徴です。また、不動産のプロが物件を選ぶので、通常の不動産投資においては見つけづらい優良物件に投資できるかもしれません。

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