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投資用不動産の手付金を解説!頭金や申込証拠金との違いとは?

2022年10月27日

住居用不動産でも投資用不動産でも、売買契約を結ぶ際には、買主は売主に手付金を支払うこととなります。この記事では、手付金の種類や相場、役割などについてまとめました。

不動産売買契約時の手付金とは

手付金とは、不動産売買などの契約をする際に、買主から売主へ支払われるお金のことで、売買契約が成立した証拠としての役割や、買主・売主、どちらからも一方的な契約解除を防ぐための役割があります。
手付金が支払われるタイミングは不動産売買契約締結と同時に行われ、手付金を支払うことで契約締結となるのです。

手付金の種類

手付金の種類には以下3つがあります。

解約手付

解除権を留保する目的で交付される手付金です。売買契約において、手付金について特に定めがない限り解約手付と推定されます。

買主が売主に解約手付金を交付している場合、債務不履行等の事情がなくても、買主は手付金を放棄することにより、売主は手付金の倍額を支払うことにより契約を解除することが可能です。
この手付放棄・手付倍返しにより契約が解除された場合、それ以上の賠償請求はできません。

違約手付

売買契約に関する違反があった場合に没収される手付金です。
買主が契約違反をした場合は、買主は支払い済みの手付金が没収され、売主が契約違反をした場合は、売主が受け取り済みの手付金の倍額を買主に支払います。

契約違反の例としては、買主が期日までに売買代金を支払わないことや、売主が期日までに物件を引き渡さないことが挙げられます。

証約手付

売買契約締結を証明するための手付金です。
形式上のものであり、それ以外の意味を持たない手付金なので、金額は少額に設定されることが一般的です。

なお、実際の不動産契約においては、解約手付や違約手付が設定されるケースが大半です。証約手付のみで契約が成立するケースはほとんどありません。

手付金の相場

不動産取引の手付金の相場は、売主の主体によって異なります。

個人が売主の場合

手付金の相場は物件価格の5~10%とされています。中古物件の場合には5%に設定されることが一般的です。
ただし個人が売主の場合の手付金には上限値が設けられていないため、売主の意向で、物件価格の10%を超える手付金を設定することができます。

不動産会社が売主の場合

手付金は物件価格の20%以内と宅地建物取引業法で定められているため、不動産会社はこの上限を超えて設定することはできません。会社によっては、一般的な相場と同様に5~10%ほどに設定しているケースもあります。

手付解除とは

手付解除とは、手付金の存在を前提に契約を解除することを言います。この場合、手付金の種類は「解約手付」であることが前提です。

買主の意向による手付解除

買主の意向により手付解除する場合、買主は手付金の返還を放棄する形となります。

売主の意向による手付解除

売主の意向により手付解除する場合、売主は買主から支払われている手付金を返還することに加え、手付金と同額のお金を買主に支払うことになり、手付金の2倍のお金を買主に支払います。

手付解除ができるのは一定期間まで

買主または売主が契約の履行に着手すると、手付解除はできなくなります。
契約の履行とは、例えば買主の場合は「内金を支払った」などの事実で、売主の場合は「買主の要望に応じて 不動産の修繕を始めた」などの事実です。
手付解除をする場合には、先方が契約の履行を行う前に解除を申し出る必要があります。

なお、不動産売買取引の実務では、手付解除期限をあらかじめ具体的な年月日で定めることがほとんどです。この場合には、契約書で定められた手付解除権の行使期限を徒過したときには、手付解除はできなくなります。
ただし、売主が宅建業者の場合には、手付解除期限を定めることはできません。相手方が履行に着手するまでは手付解除することが可能です。

頭金との違い

頭金とは、不動産投資ローンなどの融資額を少しでも減らすために買主が用意する金銭で、「価格-ローン借入額=頭金」という関係のものです。

一方で手付金とは、不動産売買契約を結ぶ時に売主へ支払う性質の金銭を指し、頭金とは趣旨が異なりますが、実際に契約が履行された場合には、支払い済みの手付金は物件購入費用の一部へと回るため、実質的に頭金の一部となります。

手付金と頭金の大きな違いとして、手付金は売主に対して必ず支払うものに対し、頭金は必ずしも支払う必要はありません。ただし、頭金を支払わなければ金融機関からの借入額が大きくなるため、その分、返済の利息が増える形となります。

申込証拠金との違い

申込証拠金とは、不動産の購入意思を示すために、買主が不動産会社に対して支払う金銭です。
申込証拠金の金額は物件により異なりますが、一般的な相場としては5~10万円ほど。不動産会社の中には、申込証拠金を預からないところもあります。
なお、申込みを撤回した場合、申込証拠金は返還されます。

手付金と似た印象のある申込証拠金ですが、手付金は契約時に支払う金銭であることに対し、申込証拠金は契約前に支払う金銭という点で違いがあります。

なお、申込証拠金がやり取りされるのは、新築分譲の場合がほとんどです。新築以外の不動産売買取引の実務では、申込証拠金がやり取りされることはほとんどありません。

今回のまとめ

手付金には、「解約手付金」、「違約手付金」、「証約手付金」の3種類があります。大半の不動産取引では、「解約手付金」か「違約手付金」が設定され、その相場は5~10%が一般的です。成立した契約を解除するには、解除を申し出たほうが手付金相当額の支払いをすることになります。

必ず支払い義務のある点が「頭金」とは異なるほか、不動産の購入意思の証明のため支払う「申込証拠金」とは役割や用意するタイミングなどが異なりますので、他のお金と混同しないようご注意ください。

Myアセットでは、投資用不動産の売買契約を含めた各種サポートをしております。契約時のお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。