不動産投資の家賃収入、手取りはどれくらい?

2022年9月28日
不動産投資の最終的な目標は、家賃収入を増やすことではなく、手取りを増やすことです。ここでは、不動産投資における手取りの目安、手取りの計算方法、手取りを最大化するためのポイントなどについて解説しています。
不動産投資の手取りの計算方法
不動産投資の手取りを計算する際には、「入金」と「出金」の内訳を明確にしておく必要があります。「入金」には、家賃収入だけではなく礼金なども含まれるからです。また、「出金」には、経費だけではなく一部の税金も含まれます。
不動産投資の「入金」と「出金」の内訳について、詳しく確認してみましょう。
不動産投資の家賃収入について
一般に不動産投資の入金は「家賃収入のみ」と思われがちですが、家賃収入の他にも、いくつかの項目があります。入金の詳しい内訳を見てみましょう。
賃料
賃料とは、入居者が毎月支払う家賃から得る収入のことで、投資用語で言う「インカムゲイン」に当たる項目です。不動産投資の入金の内訳には複数ありますが、それらの中でも大部分を占めるのが、この賃料になります。
礼金
慣習的に、入居者から物件の貸主に支払われるお金が礼金です。金額は、概ね家賃1ヶ月分。敷金と異なり、入居者への返還義務はありません。近年では礼金を設定しない貸主も増えてきました。
更新料
賃貸契約の更新のタイミングで入居者から支払われるお金です。金額の目安は、概ね家賃1ヶ月分。2年に一度のペースで更新が行われるケースが多く見られますが、近年では、更新のタイミングで入居者に転居されないよう、更新料を設けないオーナーも増えてきました。
共益費
共益費とは、マンション等の共用設備の管理等を目的に入居者から支払われるお金です。「管理費」とほぼ同じ意味になります。共益費の相場は、概ね家賃の5~10%ほど。家賃の中に共益費が含まれている例も見られます。
その他(駐車場・自販機などの土地活用)
マンション等の敷地内に駐車場や自販機を設けたり、屋上に売電のための太陽光発電設備を設置したりといった場合には、賃料等とは別途で収入が入ることになります。
不動産投資の必要経費について
不動産投資の経費は、「経費計上できるもの」「経費計上できないもの」「出金が伴うもの」「出金が伴わないもの」の4つに分類することができます。それぞれの視点を踏まえ、各経費項目を確認してみましょう。
仲介手数料・広告費・司法書士などの費用
不動産投資を始めるにあたってかかる不動産仲介手数料や入居者募集の広告費、司法書士、税理士などの各種費用は、必要経費として計上可能です。もちろん、これら経費には実際の出金が伴います。
修繕費
壁紙やエアコンの交換費用など、物件の修繕にかかる費用や修繕積立金は、必要経費として計上することが可能です。ただし、故障した設備の交換費用が20万円以上かかった場合には、修繕費ではなく減価償却費の対象と判断されることがあります。
なお、修繕費・減価償却費ともに経費計上ができますが、修繕費は出金が伴うことに対し、減価償却費は年度をまたいだ会計時処理上の形式的な経費なので出金は伴いません(実際には設備等の購入時に一括で出金しています)。
共用部分の水道光熱費
物件の共用部分にかかった水道光熱費は、基本的に経費計上することができます。
収益一棟マンションではそのままオーナー負担の費用として計上します。分譲マンションでは管理組合が共用部分の水道光熱費を支払うことが多いため、計上の分類は「組合費」です。
なお、共用部分の水道光熱費を入居者の家賃に含めている場合には、オーナー負担の出金はなく、経費計上もできません。
管理費(設備の清掃や点検)
物件の管理をオーナー自身が行うことにより、特に出金が伴わない場合には、経費は発生しないので計上できません。一方で、設備を管理するために必要な備品等の購入費があれば、出金を伴う経費として計上することができます。
管理会社への管理委託費
管理会社に物件の管理を委託している場合には、管理委託料が発生します。必要経費と認められ、出金も伴う項目です。
保険料
不動産投資における保険料には、主に火災保険と地震保険があります。近年では、物件内で入居者が孤独死した場合の損失に備えた孤独死保険に加入するオーナーも。保険料は必要経費として計上可能ですが、出金も伴います。
退去後の部屋の原状回復費
入居者が退去した後の部屋の原状回復費について、オーナーが負担した費用(敷金を超える部分など)があれば、修繕費として経費計上することができますが、こちらも出金を伴う経費となります。
借入の返済
不動産投資の必要経費の中でも特に大きな負担となるのが、不動産投資ローンの返済です。原則として経費計上ができず、かつ出金が伴う必要経費となります。ただし、次の「利息の支払」に関しては、経費計上が可能です。
利息の支払
不動産投資ローンの返済の中には、元本部分の返済と利息部分の支払があります。これらのうち、「建物部分の取得に関する利息部分」についてのみ、経費計上をすることが可能ですが、利息の支払なので出金が伴います。
不動産投資の税金について
不動産投資にかかる税金を大きく分けると、「不動産の購入時にかかる税金」、「不動産を保有中にかかる税金」、「不動産の売却時にかかる税金」の3種類があります。各種税金の中で印紙税などのように不動産投資に直接関連して発生する税金は、必要経費として計上することが可能です。
印紙税・登録免許税・不動産取得税(購入時にかかる)
不動産投資と直接関係のある税金なので、必要経費として計上することが認められています。
消費税(購入時にかかる)
不動産のうち、建物部分の購入費用や不動産仲介手数料に消費税が課されます。土地の購入費用に対しては、消費税は課されません。消費税の会計処理を税込処理方式としている場合には、租税公課として経費計上できます。
固定資産税・都市計画税(保有中にかかる)
不動産投資と直接関係のある税金なので、必要経費として計上することが認められています。
所得税(保有中にかかる)
不動産所得の金額に応じた税率で所得税が課されます。所得税は経費計上できません。
住民税(保有中にかかる)
不動産所得に対して一律10%で住民税が課されます。住民税は経費計上できません。
個人事業税(保有中にかかる)
不動産所得が事業とみなされ、かつ不動産から一定額以上の所得を得た個人には、個人事業税が課されます。不動産投資と直接関係のある税金なので、必要経費として計上することが認められています。
譲渡所得税(売却時にかかる)
不動産の売却によって利益が出た場合、譲渡所得税が課されます。譲渡所得税は経費計上できません。
登録免許税(売却時にかかる)
不動産を売却する際、抵当権抹消のための登録免許税が課されます。抵当権抹消の際の登録免許税は経費計上できません。
不動産投資の手取りの計算例
不動産投資の手取りは、家賃収入による「入金」とローン返済や経費の「出金」の差額により算出が可能です。
参考までに、以下の条件等を前提に不動産投資の手取りを計算してみました。
【条件】
- 物件価格(2017年成約物件/中古)
- 借入金額(頭金を20%払ったと仮定)
- 元本返済(35年ローン)
- 金利返済(固定金利1.49%)
- 減価償却(木造/22年で償却)
- 家賃収入(表面利回り4.1%と仮定)
- 運用諸経費(家賃収入の5%が相場)
【手取り計算】
- 物件価格…¥32,000,000
- 借入金額…¥25,600,000
- 頭金…¥6,400,000
- 元本返済…¥731,429
- 金利返済…¥381,440
- 減価償却…¥1,454,546
- 家賃収入…¥1,312,000
- 運用諸経費…¥65,600
- 会計上収支…▲¥589,586
- 所得税…¥0
- 手取り…¥133,531
「手取り÷物件価格」により、不動産投資の手取り率は「約0.42%」と算出されました。
※参考:
国土交通省|不動産投資市場の現状についてhttps://www.mlit.go.jp/common/001242304.pdf
住宅金融支援機構|フラット35 https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
日本不動産研究所|第46回不動産投資家調査(2022年4月現在)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/1-kouhyou-202204.pdf
手取り額を最大化するポイント
いかに家賃収入が多くても、支出が多ければ手取り額が小さくなります。以下では、手取り額を最大にするためのポイントと注意点を解説します。
借入・利息の支払いを工夫する
不動産投資ローンの返済方法には、毎月支払う返済額のうち元金額が一定となる元金均等返済と毎月の返済額が一定の元利均等返済の2種類があり、どちらの返済方法を選択しても、建物や建物に付随する設備にかかった部分のローン金利は、経費として計上することが可能です。不動産経営の前半でより多くの金利を経費として計上したい場合には、元金均等返済を選んだほうが有利になる可能性があります。
頭金を活用する
頭金を少しでも多く用意すれば、その分ローンの借入額も少なくなることから、結果として手取り額は多くなります。
ローンの元本の返済部分は経費にならず、利子部分のみ経費として認められることを踏まえ、資金計画を立てましょう。
家賃を維持する
現状の家賃を維持し続けるためには、リフォームやリノベーションを行うことも有効です。リフォームやリノベーションには一時的な出費が必要ですが、長期的には、家賃の現状維持と空室リスクを下げる効果にもつながります。
今回のまとめ
不動産投資の手取り額を計算するためには「入金」項目と「出金」項目の内訳を明確にして計算する必要があること、不動産投資の手取り率は約0.42%であること(シミュレーション例)、手取り額の最大化を目指すためには借入・利息の支払いの工夫 が有効なことなどをご紹介しました。
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初めて不動産投資を行う方はもちろん、すでに複数の物件を経営されている方も是非お気軽にお問い合わせください。