管理・運用

投資用マンションに住む際に気をつけたい5つのポイント

2022年05月20日

資産運用の選択肢として不動産投資を検討されている方の中には、将来的に自分で住めるようにしたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、投資用不動産を居住用に切り替えるにはいくつかの注意点があります。

ここでは、投資用マンションから居住用マンションへの切り替えが可能かどうかに加え、それらの注意点について詳しく説明していきますので、不動産投資の計画を立てる際にぜひお役立てください。

投資用マンションに住むことは可能

前提として、不動産投資のために購入したマンションには、自分で住むことも可能です。
例えば、老後に便利な場所に住み替えることを視野に入れて投資用不動産を購入し、将来的には居住用に切り替えたいと考える方がいらっしゃいます。

しかし、物件を投資用から居住用に切り替えることは簡単ではありません。問題になり得るのは、大きく分けて「資金計画」と「物件」です。

資金計画に関する注意点

投資用不動産を居住用に切り替える時、資金計画を見直すにあたって3つのポイントが重要になります。

不動産投資ローンの規約に違反するおそれがある

不動産投資ローン返済中の投資用不動産に居住しようとすると、物件の使用目的が「投資用」から「居住用」に変わるため規約違反に該当するおそれがあります。違反しないためには、利用する予定の(利用している)金融機関のローン規約について確認が必要です。

住宅ローンよりも金利が高い

不動産投資ローンを返済しながらの居住が認められたとしても、高金利のローンを返済しながら住むことになります。投資ローンで購入した物件を居住用に使うと、住宅ローンで居住用にマンションを購入した場合よりも、ローンの金利が高くなってしまうのです。

不動産投資ローンは、家賃収入を前提とする不動産事業に対して金融機関が融資するものなので、「事業がうまく行かずローン返済の滞納に繋がる」というリスクを前提に、金利が高めに設定されています。一方で、住宅ローンは購入した不動産に住むことが目的であるため、不動産投資ローンに比べて金利は低めです。
また、投資ローンから住宅ローンに借り換えるという選択肢もありますが、「投資用物件を居住用に切り替えると、家賃収入が入らずローン返済を滞納してしまうおそれがある」と判断され、金融機関が認めない可能性が高いでしょう。

節税ができなくなる

不動産投資は事業経営の扱いとなるので、投資用に不動産を購入すると、耐用年数内は減価償却で所得税を節税(※1)できます。しかし、その物件に自分で住むと「人に賃貸する」という事業経営ではなくなり、経費という概念もなくなるため、節税が不可能になるのです。

「投資ローンから住宅ローンに借り換えられれば、住宅ローン控除を受けられて節税できる」という考え方もありますが、金融機関が借り換えを許可してくれる可能性は高くありません。また、借り換えの許可を得られても、住宅ローン控除適用のためには床面積の条件(※2)を満たすことが必要です。

※1:減価償却は実際の支出ではありませんが、経費として計上できます。これによって帳簿上の赤字経営になれば、他の所得がある人は課税対象の所得額を減らすことができます。
※2:床面積50平方メートル以上・所得金額3,000万円以下という条件があります。なお、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満であれば、所得金額は1,000万円以下となります。

参考:国税庁|一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1212.htm

物件に関する注意点

投資用不動産を居住用に切り替えることを考えると、物件に入居者がいる際の対応や、賃貸ニーズと居住しやすさの違いなど、物件自体に関する問題も存在します。

入居者がいる場合すぐには住めない

投資用不動産に既に入居者がいる場合、空室になるのを待つ必要があります。オーナーだからといって立ち退かせることはできません。

入居者に対してオーナーから解約を希望するには、賃貸借契約の法律である借地借家法によって「正当な事由」と「解約までの6ヶ月の猶予」が必要であると定められており、立場の弱い入居者が保護されています。無理に退去を要求すると、裁判になってしまうおそれも。
そのため、入居者が引っ越すタイミングを見計らうか、転居の費用負担や交渉などを行って円満に退去してもらうことをおすすめします。

居住用マンションとは重視する条件が異なる

不動産の設計や購入時に注意するポイントは投資用物件と居住用物件で異なるので、投資したマンションが自分にとって住みやすいとは限りません。

投資用の賃貸物件は、設備や間取りも賃貸ニーズに合わせて設計されています。管理費・修繕積立金の金額・賃借人の賃料などの費用面とスペックのバランスが考慮されているため、住みやすさを第一に考えた居住用マンションと比べると、必ずしも理想的な住まいになるとは言えないでしょう。

逆に、最初から自分が住む前提で自分にとって住みやすい不動産を選んだ場合、今度は賃貸ニーズに合わなくなる可能性が出てきます。
「自分がずっと住む」と考えて物件を選ぶ際は、設備や間取りだけでなく、日当たりや部屋の広さにこだわりたい方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのような条件をつけていくと高額な物件になってしまい、賃貸時の利回りが悪くなるおそれがあります。

このように、投資用と居住用では、そもそもの目的が異なるため、簡単には切り替えができないのです。

今回のまとめ

今回は、不動産投資用に購入したマンションに自分で住むケースについて解説しました。投資用マンションを居住用に切り替えることは可能ですが、資金計画や物件に注意するべきポイントがあります。

資金計画の面では、金融機関のローン規約に違反しないかどうかを確認しましょう。加えて、居住に問題がなかったとしても、住宅ローンよりも高い金利でのローン返済が続くことや所得税の節税ができなくなることが原因で収支の計画が崩れないよう、慎重に計算しておくのがおすすめです。

また、既に物件に入居者がいる場合、退去の要求は難しいので、空室になるタイミングを待つ必要があります。加えて、賃貸用の物件が必ずしも自分にとって住みやすいとは限らないという点もご認識ください。

このように注意点はいくつもありますが、それらを意識して計画すれば、将来的に投資先のマンションに住むことは可能です。
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