売却

投資用マンションの売却にかかる時間を短くする工夫とは?

時間

2023年8月18日

投資用マンションの売却を不動産会社に依頼しても、買主が現れなければ売却は成立しません。売却活動のスタート後、平均的には2~3か月で売買契約が成立するとされていますが、中には3か月を過ぎてもなかなか売却にいたらないケースもあります。
ここでは、投資用マンション売却に要する平均的な期間、および、可能な限り投資用マンションを早く売却したい方に向けた「買取」という方法についてご紹介しています。

投資用マンションの平均所要期間と売却の流れ

投資用を含めたマンション全般の売却に要する平均期間、および投資用マンションの売却の流れを確認しましょう。

マンション売却の平均所要期間

レインズ(※1)が公表しているデータによると、首都圏におけるマンション売却に要する平均所要期間は、2018年が「78.8日」、2019年が「81.7日」、2020年が「88.3日」となっています(※2)。毎年多少のブレはあるものの、概ね「2~3か月」でマンション売却が成立していることが分かります。
売却査定や媒介契約の締結、引渡しなどの周辺期間も含めれば、「4~6か月」と考えておけば現実的かもしれません。

※1:レインズとは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム。不動産会社が自社の物件情報を登録したり、他社の物件情報を閲覧したりする際に利用します。
※2:レインズ|首都圏不動産流通市場の動向(2020年)(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2020.pdf)

投資用マンションの売却の流れ

所要期間を基準に、投資用マンションの売却の流れを簡単に見ておきましょう。

所要期間1~2週間

  1. 不動産会社に物件の査定をしてもらう
  2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ

以上の他にも、レントロール(家賃や敷金等の賃貸借条件を一覧にまとめた表)の作成なども必要となることもありますが、これらの準備段階における所要期間は、概ね1~2週間となるでしょう。

  1. 売却活動をする
  2. 買主と契約条件を交渉する
  3. 買主と売買契約を結ぶ

売却活動から売買契約までに要する期間は、概ね3か月と考えておきましょう。すぐに買主が見つかれば、この期間は短縮されます。

  1. 残金決済・引き渡し

売買契約の締結から残金決済・引き渡しにいたるまでの期間は、約1か月です。もし入居者がいる物件でしたら、引き渡し後に入居者へ地位継承通知を行う必要もあります。

売買期間に影響を与える要素

レインズのデータを参考にすると、投資用マンションの売却に要する期間は2~3か月と考えられます。
ただし、これはあくまでも平均であり、様々な条件によって期間は短くなることもあれば、長くなることもあるでしょう。以下、投資用マンションの売却期間に影響を与える主な要素を見てみましょう。

投資用マンションの売却期間に影響を与える主な要素

物件の条件

「立地が良い」「駅までのアクセスが良好」「治安が良い」「建物が新しい」「設備が良い」など、物件に関連する各種の条件が良ければ、比較的短い期間で売却できる可能性があります。

売り出し価格

物件の条件に対し、相対的に売り出し価格が割安であれば、早めに買主が現れる可能性もあるでしょう。

競合物件

似たような間取り、広さ、価格帯の競合物件が近くになければ、早めに売却できる可能性があります。

不動産会社との媒介契約の種類

不動産会社に売却の仲介を依頼する場合、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約のいずれかを締結することになります。これらの契約形態の違いが売却期間に影響を与えることもあります。

内覧への対応

内覧希望者に対して十分な対応ができるか否かで、売却期間が左右されることもあります。空室の投資用マンションなら十分な内覧対応ができますが、入居者のいる投資用マンションでは十分な内覧ができないこともあるため、売却成立までにやや長めの期間を要することもあります。

不動産会社との媒介契約について

売却期間に影響を与える主な要素の中には、不動産会社との媒介契約の種類があります。3種類ある媒介契約の特徴を見てみましょう。

1. 一般媒介契約

売却情報について、自社の公式HPで公開したり来店者に紹介したりなど、最低限の営業活動のみが約束された契約です。
契約後、不動産会社は売主に対して、物件情報をレインズへ登録する義務も、営業状況の報告をする義務も負いません。売主は複数の不動産会社と同時に一般媒介契約を結ぶことができます。

2. 専任媒介契約

不動産会社1社のみと契約し、積極的に営業活動を行ってもらう契約です。
契約後、不動産会社は売主に対して、7日以内にレインズへ物件情報を登録する義務を負います。また、最低でも2週間に1度の頻度で、売主へ営業状況を報告しなければなりません。

3. 専属専任媒介契約

不動産会社1社のみと契約し、専任媒介契約よりもさらに積極的に営業活動を行ってもらう契約です。
契約後、不動産会社は売主に対して、5日以内にレインズへ物件情報を登録する義務を負います。また、最低でも1週間に1度の頻度で、売主へ営業状況の報告をしなければなりません。

以上3種類の媒介契約のうち、投資用マンションの売却に適していると言われるものが、専任媒介契約または専属専任媒介契約です。ただし、専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結したとしても、「一般媒介契約よりも確実に好条件で売却できる」という保証はありません。
どの契約形態が有利になるかは状況により異なる、と理解しておいたほうが良いでしょう。

現金化を急いでいる方には「買取」という方法がある

投資用マンションの売却に要する期間は約2~3か月と説明しましたが、いかに好条件での売り出しだったとしても、買主が現れないことには売却が成立しません。その意味では、「平均は2~3か月だが、実際にはいつ売れるか分からない」というのが現実です。
早急に現金化したい事情のある方などにとって、売れるか売れないか分からない状態のまま不動産会社からの連絡を待っている日々は、不安な時間となることでしょう。
もし、何らかの事情で一刻も早く投資用マンションを売却したいのでしたら、不動産会社に対して「仲介」を依頼するのではなく、「買取」を依頼するという方法を検討してみてはいかがでしょうか。

仲介と買取の違いと買取のメリット

仲介とは、不動産会社が売主に代わり、一般市場から買主を探す営業活動のことです。一方、買取とは、不動産会社が買主になり売主から不動産を購入することを言います。
仲介に比べ、買取の売却価格はやや低めになることがありますが、その代償のような形で様々なメリットを得られることも確かです。買取を選ぶ主なメリットを3点ほど見てみましょう。

1. 現金化がスピーディ

投資用マンションの仲介で最も時間のかかるプロセスが「市場で買主を見つけること」ですが、買取の場合、不動産会社が買主と決まっているため、このプロセスを省略できます。
売主と不動産会社との合意があれば売却が成立するため、仲介に比べ、現金化がスピーディです。

2. 仲介手数料が掛からない

買取の場合、不動産会社に仲介手数料を支払う必要がありません。
仲介手数料とは、売主と買主との売買を成立させるための仲介活動に対する対価のことです。買取の場合、この仲介活動を行っていないため、仲介手数料は発生しません。

3. 契約不適合責任を問われない

買取の場合、一般的に売主は契約不適合責任を問われません。
契約不適合責任とは、物件の引き渡し後に契約内容とは異なる点が発見された場合、その異なる点の修補、代替物の引き渡し、不足物の引き渡し、場合によっては代金の減額、損害賠償、契約の解除を買主は請求することができます。
例えば、売買契約書に「雨漏りはない」と記載されていたにもかかわらず、引き渡し後に雨漏りが発覚した場合には、売主の負担で修繕を行うというものです。
仲介による売買では、売主は契約不適合責任を負いますが、買取による売買では、特約などを設定することで売主が契約不適合責任を負わないことが一般的です。

早く売却したければ早く行動する、が基本

買取を選べばスピーディに投資用マンションを売却できますが、仲介に比べ、売却価格が低くなってしまうことがある点は理解しておかなければなりません。そのため、早く売却したいものの売却価格を下げたくないという方は、売却期間に2~3か月程度かかることを考慮し、早めに行動する(=早めに不動産会社に相談する)しかないでしょう。
不動産会社に支払う仲介手数料は成功報酬制です。言い換えれば、契約が成立しない限り不動産会社に掛かる費用はないということです。早めに相談したり、売却期間が長引いたりなどの理由で仲介手数料が高くなることもありません。
投資用マンションを早く市場価格で売りたいと考えている方は、早急に不動産会社へ相談しましょう。

損切りをしてマイナスを確定させる発想も大事

早く不動産会社に相談して投資用マンションを売却したい気持ちはあるものの、現状として月々の収支がマイナスであることを理由に、「せめて収支がトントンになってから売却したい」と考える方がいるかもしれません。
しかし、月々の収支のマイナスが時間とともに埋められていくという保証は、どこにもありません。収支トントンまで待っているつもりが、逆にどんどんマイナス幅を広げてしまう可能性すらあります。
もとより、投資用マンションは時間とともに経年劣化し、資産価値が低下します。多少のマイナスであれば潔く損切りし、その売却代金を基に別の投資用マンションを購入して仕切り直す、という発想も大切でしょう。

入居者がいても売却はできる

投資用マンションに入居者がいる状況でも、特に問題なく売却ができます。「空室にしてから売却しなければならない」と誤解し、焦って入居者へ退去を促す必要はありません。
もし投資用マンションを売却したとしても、入居者から見れば「大家さんが代わっただけ」となります。家賃や契約期間等の賃貸借契約も変わらないことが法律で定められているため、入居者には何ら不利益がありません。あえて入居者の不利益をあげれば、家賃の振込先を変更する手間がかかることくらいでしょう。
空室の状態での売却と入居者がいる状態での売却で、どちらが有利になるかは状況により異なります。入居者の有無にかかわらず、売却したいのでしたら早めに行動したほうが良いでしょう。
ちなみに、同じ入居者のまま大家さんだけが代わる物件のことを、オーナーチェンジ物件と言います。投資用マンションの取引において、オーナーチェンジ物件の事例は少なくありません。

投資用マンションの売却に掛かる費用・税金

投資用マンションの売却には、仲介手数料の他にも、いくつかのコストが掛かります。投資用マンションの売却に掛かる主な費用・税金の種類を確認しておきましょう。

仲介手数料

売却を仲介した不動産会社に対する成功報酬。「(売却額×3%)+ 6万円 + 消費税」が仲介手数料の上限と決められています。

印紙税

売買契約書に掛かる税金。収入印紙を購入して契約書に貼付する形で納税します。印紙税額は売却金額によって異なります(1,000~60,000円)。

登記費用

抵当権抹消登記や所有権移転登記に掛かる費用。司法書士へ手続き代行を依頼した場合、別途で司法書士報酬が発生します。
なお、登記申請手続きは、売買代金の受渡しや物件の引渡しと同時に履行すべきものとされています。それぞれの手続きは関係者全員が立ち会いのもと、順番に進めていくことが原則。代金受渡しと物件引渡しの後、司法書士が法務局に必要書類を提出すれば売買手続きのすべてが完了します。

譲渡所得税・住民税・復興特別所得税

投資用マンションの売却で利益が生じた際、その利益に対して譲渡所得税・住民税・復興特別所得税が課税されます。投資用マンションの保有期間が5年超の場合、譲渡所得税の税率は19%ほど下がります(39.63%→20.315%)。

ローンの繰り上げ返済手数料

売却に際してローンを繰り上げ返済する場合、金融機関によっては、繰り上げ返済手数料が掛かることもあります。繰り上げ返済手数料の相場は約10,000~30,000円です。

ハウスクリーニング代

空室の状態で投資用マンションを売却する場合、物件の状況に応じてハウスクリーニングを行っておいたほうが良い場合もあります。

固定資産税・都市計画税は日割り計算で案分する

投資用マンションの固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日(または4月1日)時点での所有者が1年分を前払いする形で納付しています。
そのため、年の途中で売買が行われた時には、売主・買主間で平等に負担する場合、日割り計算で買主が負担すべき固定資産税・都市計画税を算定し、買主から売主へ支払う形となります。
ただし、不動産売買における固定資産税・都市計画税の日割り計算による調整は、法令に定められた手続きではありません。あくまでも当事者同士の契約に基づく手続きですので、売買契約の内容に当該条項が記載されているかどうか、売主はよく確認しましょう。

【まとめ】お急ぎの方は買取のご検討を

投資用マンションの売却に要する平均的な期間は、概ね2~3か月です。準備期間や契約成立から引渡しまでの期間などを考慮すれば、4~6か月ほどの期間を目安としておきましょう。
ただし、この期間は不動産会社に「仲介」を依頼した場合の目安です。もし、より売却をお急ぎの事情がある場合には、不動産会社に「買取」を依頼することも検討してみたほうがよいでしょう。
当社Myアセットは、投資用マンションの仲介による売却はもちろんのこと、買取による売却にも積極的に対応しています。柔軟な買取条件を用意しておりますので、売却をお急ぎの方は、ぜひお気軽にご相談ください。