不動産投資の基礎

収益物件とは?種類別の特徴とメリット・デメリットをご紹介

2023年11月6日

資産運用の中でも、比較的安定した収益が期待できると言われる不動産投資。興味のある方も多いと思いますが、多額の資産が必要となる投資である以上、様々な要素を検討しながら慎重に物件をセレクトしたいものです。

ここでは、不動産投資に関心を持ち始めた方に向け、収益物件の主な種類や特徴、収益物件のタイプ別でのメリット・デメリットなどをご紹介しています。不動産投資の基礎知識固めにお役立てください。

収益物件の種類

収益物件は、その物件の大きな用途により3種類に分かれます。1つ目が住居系物件、2つ目がオフィス系物件、3つ目がテナント系物件です。
それぞれの概要・特徴を見ていきましょう。

住居系物件/アパート・マンション・戸建てなど

ファミリーや単身者の生活の拠点となる不動産が住居系物件。キッチンや浴室、洗面台など、日常生活に必要な最低限の設備も整っている物件で、中には住居兼事務所として利用できるタイプもあります。
住居系物件は、さらに次の3種類に分かれます。

  • 一棟マンション・一棟アパート
  • 区分マンション
  • 戸建て

区分マンションとは、マンションの中にある戸別の物件のこと。マンションの建物全体で運用する一棟マンション投資とは異なり、マンション内の一戸単位で運用するスタイルを区分マンション投資と言います。

なお、投資用マンション・アパートに比べ、投資用の戸建て物件は多くありません。

オフィス系物件/オフィスビルなど

会社の事業所として活用される不動産がオフィス系物件。かつては一棟丸ごとの投資が一般的でしたが、近年ではフロアごと、部屋ごとなどの区分オフィス物件も投資対象となってきました。

都心部での需要の高さ、維持管理の簡単さなどが魅力の収益物件です。

テナント系物件/コンビニ・飲食店など

コンビニや飲食店、物販、サービス業などの商業店舗を対象にした不動産がテナント系物件。比較的家賃相場が高いこと、賃貸期間が長くなる傾向もあることなどが魅力の収益物件です。

一度空室になると次の入居店舗が見つかりにくいこともあるので、土地周辺の特徴や人の流れなどを考慮し、慎重に物件選びをすることが大切です。

住居系物件のメリット・デメリット

住居系物件に投資する主なメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

安定した収益を得やすい

オフィス系物件やテナント系物件に比べ、やや利益率は下がる傾向があるものの、安定的な収益につながりやすいのが住居系物件の大きなメリット。

引越しシーズンで空室となっても、同じシーズンに新たな入居者が見つかりやすいため、低い空室率で運用できる傾向があります。

税金対策に有効

物件の維持・管理に掛かるコストの大半を経費計上できるため、節税対策に有効です。
また、相続の際には現金より評価額が大きく下がることから、相続税対策として住居系物件に投資する方もいます。

デメリット

空室リスクがある

他のタイプの収益物件に比べて空室リスクは低くなる傾向があるものの、空室リスクをゼロにすることはできません。

引越しシーズンなどで新たな入居者を逃してしまうと、次の入居者を見つけるまでの間、長く空室が続いてしまうこともあります。
当然ですが、空室期間でもローンの返済は待ってくれません。

リフォーム・修繕費などの維持費がかかる

安定的な入居率を維持するためには、定期的なリフォーム・修繕が必要です。そのための支出は、決して低くありません。

賃貸借契約の際に入居者から敷金を支払ってもらっている場合は、敷金は退去時の原状回復に使われる原資。建物と設備の経年劣化や老朽化などに伴うリフォーム・新調は、投資家の負担で行う形となります。

オフィス系物件のメリット・デメリット

オフィス系物件に投資する主なメリット・デメリットを見てみましょう。

メリット

保証金の額を比較的大きく設定できる

保証金とは、住居系物件で言う敷金にあたるお金のこと。一般的に住居系物件の敷金は家賃の1~2か月分ですが、オフィス系物件の保証金は家賃の半年から1年分にも設定可能です。

中には、借主に保証金を返還しなくても良い場合や賃主にて一部償却する場合の契約もあります。

物件の維持管理の支出が少ない

オフィスビルを一棟丸ごと購入して運用する例では、建物の維持・管理をテナントが担う場合も少なくありません。この場合、維持・管理に掛かるオーナーのコスト負担を大きく軽減できます。

デメリット

空室リスクがやや高い

住居系物件に比べ、オフィス系物件は空室になりやすい傾向があります。腰を据えたい生活拠点とは異なり、収支バランスのみが重視される仕事上の拠点は、より家賃の安いほうへフットワーク軽く移動されやすいということです。

空室が生じたときの減収が大きい

オフィス用物件の家賃は大変高額です。そのため、仮に空室が生じた場合、次の入居者が決まるまで、オーナーは大きな減収となります。

とりわけ、一棟オフィスビルの全フロアを同じ会社に貸していた場合、退去された時の減収は極めて甚大です。

テナント系物件のメリット・デメリット

テナント系物件に投資する主なメリット・デメリットを見てみましょう。

メリット

比較的利回りが高い

住居系物件に比べ、傾向としてテナント系物件は利回りが高めです。利回り重視での不動産投資をお考えの方にとって、テナント系物件は有望な選択肢となるでしょう。

オーナーがリフォーム費用を負担しなくて良い

テナント系物件の内装や設備は、入居者が必要に応じて整える場合が多く、その際はオーナーがリフォーム代や設備代を負担する必要がありません。物件の維持・管理コストが大きく削減されます。

デメリット

銀行の融資を受けにくい

テナント系物件の購入に際して銀行の融資を申し込む際、オーナー自身の属性等のほかにも、入居可能性のあるテナントの属性等も審査対象となるため、場合によっては融資の審査が難航することもあります。

一般的に、住居系物件購入の融資に比べると、テナント系物件購入の融資のほうが審査は厳しいと考えましょう。

空室になると長引くこともある

入居していたテナントが撤退すると、次のテナントが入居するまでの間、空室期間が長引いてしまう傾向もあります。何か月にもわたり「入居者募集中」の貼り紙を出し続けているテナント系物件を、時々目にする方もいるのではないでしょうか。

入居中は比較的利回りが良いものの、空室が長引くリスクとのバランスも考えて物件探しをすることが大切です。

収益物件全般に共通するメリット・デメリット

住居系・オフィス系・テナント系を問わず、収益物件全般に共通するメリット・デメリットがあります。主なものを見ていきましょう。

メリット

投資のレバレッジ効果がある

投資のレバレッジ効果とは、小さな資金で大きな運用が可能になる効果のこと。自己資金が少なくても、融資を通じて高額な不動産の運用ができる点で、収益物件への投資には大きなレバレッジ効果があります。

安定的な収入を長期的に得られる傾向がある

株式やFXなどに比べ、不動産の家賃相場の動きは大変緩やかです。慎重に物件選びを行えば、高い入居率を長く維持できる傾向もあることから、安定的な収益を長期的に得たい方には満足度の高い資産運用法となるでしょう。

年金や生命保険代わりになる

銀行からの融資を完済すれば、収益物件から得られる家賃の多くはオーナーの収入。将来の年金を補強する大事な収益となるでしょう。

また、一般的に銀行から融資を受ける際には団信(団体信用生命保険)への加入が条件とされますが、団信に加入していればローンの返済中に名義人が死亡したとしても、団信の保険金から残債の全額が支払われます。

実質的に生命保険の代わりとなるため、残された家族に借金が残ることはありません。

節税対策につながる

収益物件の維持・管理に掛かる大半の支出は、確定申告をすることで経費として認められるため、有効な節税対策になります。

また、収益物件を相続する際には、現金の相続に比べて評価額が圧倒的に低くなるため、相続税を圧縮する効果も期待できます。

デメリット

空室・滞納などで収益が出ないリスクもある

他の資産運用法に比べ、比較的リスクが低いとされる収益物件での資産運用ですが、空室・滞納リスクがゼロになるわけではありません。

特にテナント系物件の場合、一度空室になると長く入居者が現れないケースも見られるため、物件選びには慎重になりましょう。

売却したくてもすぐに売れるとは限らない

収益物件を売却したいと考えても、対象が高額である以上、すぐに買主が見つかるわけではありません。売りたくても売れない状況のことを「流動性が低い」と言いますが、不動産の流動性の低さはよく知られているところです。

物件価格の下落リスクがある

収益物件は、時間とともに物件価値が下落します(立地などの条件によっては上昇することもありますが)。あわせて地価も下落すれば、購入した収益物件の全体的な資産価値が大きく下がる可能性もあるでしょう。

価格の下落リスクは、投資対象が何であれ排除することはできません。

【まとめ】目先の利回りよりも安定性を重視して収益物件を選ぼう

不動産投資に関心を持ち始めた方に向け、収益物件の種類やメリット・デメリットなどについて解説しました。

一口に収益物件と言っても、その種類によりメリット・デメリットや運用方法、リスクなどが異なります。それぞれの収益物件の特徴をより掘り下げて理解し、ご自身の投資スタンスやライフスタイルに近い収益物件を選ぶようにしましょう。

一度物件を選んで投資・運用を始めたら、簡単には撤退できません。目先の利回りの高さだけに注目するのではなく、空室などのあらゆるリスクの可能性も考慮し、長く安定的に運用できるかどうかを重視して物件選びをしましょう。