不動産投資のリスク

不動産投資ローンの「団体信用生命保険」とは?

2022年03月18日

不動産投資ローンを組む際、「団信」という言葉を耳にすることがあります。「団信」とは団体信用生命保険の略で、病気や事故が原因で不動産投資ローンを返済できなくなった際の保障が目的です。

団体信用生命保険のメリットや一般的な生命保険との違い、加入時の注意点などを確認していきましょう。

団体信用生命保険とは

「団体信用生命保険」とは、不動産投資ローンを利用した人が病気や事故などによって死亡したり高度の障害を負ったりし、想定していた収入を得られずローン返済が困難になった場合に、契約者に代わって生命保険会社が金融機関にローン残債を支払う保険商品です。略して「団信」とも呼ばれます。

不動産投資ローンの返済は長期に渡るため、病気や不慮の事故に遭遇してしまうことは十分にあり得ます。団体信用生命保険への加入は、それらのリスクヘッジに有効です。

保障範囲を広げられる「特約」

死亡や高度障害以外でローン返済が困難になった場合に備えられるのが、保障範囲を拡大できる「特約」です。保険会社によって詳細な内容は異なりますが、例として「三大疾病特約」「八大疾病特約」「生活習慣病特約」をご紹介します。

  • 三大疾病特約:ガン・急性心筋梗塞・脳卒中が原因でローン返済が難しいと認定された場合に、保険会社が金融機関にローンの残債を支払う特約
  • 八大疾病特約:三大疾病に加えて、5つの重度慢性疾患である高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性すい炎で保険金が下りる特約
  • 生活習慣病特約:糖尿病・高血圧性疾患・肝疾患・腎疾患などの生活習慣病まで対象とした特約

いずれも保険料(金利)を上げることになるので、資金計画が崩れないかどうか必ず確認してください。
また、適用条件は保険会社によって異なり、罹患だけでは保険金が支払われないケースもあります。

一般的な生命保険との違い

団体信用生命保険と一般的な生命保険では、主に保険料・保険期間・保険金額・生命保険料控除に関する点で違いがあります。

保険料はローン返済に含まれ、変動しない

一般的な生命保険の保険料は「年払い」「月々払い」などから契約者が選んで支払いますが、団体信用生命保険の保険料はローン返済額に含まれます。
また、一般的な生命保険は加入時の年齢に合わせて保険料が高くなりますが、団体信用生命保険の金利や保険料は一定です。

ローンを完済すると保障が終了する

一般的な生命保険は保険期間を定め、その期間保障されますが、団体信用生命保険ではローン完済と同時に保障が終了します。あくまでもローン返済ができなくなった場合に備える保険であり、ローンを支払い終えると役割を終えるからです。

保険金がローン残債と一致する

一般的な生命保険は契約時に定めた金額が保険金として支払われますが、団体信用生命保険はローン残債と同額の返済をすることが目的であるため、ローンを返済していくとともに保険金が減ってローンの残債と一致します。また、満期保険金が支払われない、掛け捨て型の保険です。

生命保険料控除の対象にならない

一般的な生命保険は生命保険料控除の対象であるため、所得税を抑える効果を持ちます。しかし、団体信用生命保険は保険金の受取人が金融機関なので、生命保険料控除の対象にはなりません。

加入に際して注意するポイント

団体信用生命保険への加入を検討する際は、以下の点に注意しましょう。

加入や保険適用の条件

団体信用生命保険は、保険会社によって加入や適用の条件が異なります。不動産投資ローンを組む金融機関から、提携している保険会社を紹介されることも多くありますが、条件についてはよく確認しましょう。

一般的な生命保険との兼ね合い

団体信用生命保険と一般的な生命保険の保障内容が重なると、保険料を多めに支払うことになる可能性があります。一般的な生命保険で遺族の住居費まで保険金に設定すると、団体信用生命保険と保障内容が重複することが考えられるのです。
団体信用生命保険の前に一般的な生命保険に加入しているのであれば、保障内容を正確に把握しましょう。

また、団体信用生命保険は不動産投資ローンの完済までしか保障されません。ローン完済後も死亡や高度障害に対する保障を受けたい場合、別の生命保険への加入が必要になります。

健康状態の告知で審査に通らない可能性がある

団体信用生命保険に加入するには、一般的な生命保険と同様に健康状態の告知と審査が必要で、健康状態に不安のある方は審査に通らず加入できないおそれがあります。
健康上の理由から団体信用生命保険に加入できなかった場合は、「ワイド団信」への加入検討がおすすめです。金利が高くなりますが、審査基準が緩和されており、団体信用生命保険と同じ保障を受けられます。

今回のまとめ

団体信用生命保険(団信)は、不動産を購入した人が病気や事故によって不動産投資ローンを返済できないという事態に備える、掛け捨て型の保険です。死亡や高度障害で契約者がローンを返済できないと判断された時、保険会社が残債を支払ってローンを完済してくれます。
基本的には死亡や高度障害が対象ですが、「特約」によって糖尿病や脳梗塞など特定の疾病に関する保障範囲の拡大も可能です。

保険会社によって詳細は異なるので、加入や適用の条件をよく確認しましょう。
健康上の理由で団体信用生命保険に加入できない場合、金利は上がってしまうものの審査条件が緩和されている「ワイド団信」への加入も選択肢になります。
また、一般的な生命保険とは保険料の支払い方法や保険金額などの面で異なるため、違いを理解しつつ兼ね合いを考えた加入がおすすめです。

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