不動産投資のリスク

不動産投資における「瑕疵」のリスクとは?

2021年10月15日

「瑕疵(かし)」とは、不動産を売却した後に判明した、壁の内部にある配管の破損など、それまで気づかなかった欠陥のこと。 売買契約の目的物(不動産)に瑕疵が見つかると、契約不適合責任により損害賠償などを請求されるおそれがあります。

不動産の瑕疵の具体例や契約不適合責任のポイント、瑕疵に関するトラブルを防ぐための対策などについて解説しますので、不動産投資で売買する際の参考にしてください。

瑕疵とは目的を果たせなくなる欠陥

「瑕疵(かし)」を噛み砕いて言えば、売買契約の目的物に傷や欠陥があること。
何らかの欠陥や不具合が生じていて、本来あるべき性能や品質が損なわれており、買主の目的を十分に果たせない状態を指します。

例えば、新築の住宅を購入したところ屋根から雨漏りがしていた場合は、そのままでは「居住するという目的を果たせない」ので、瑕疵があると言えるのです。
瑕疵にはさまざまな種類があり、雨漏りに代表される物理的な欠陥にとどまらず、以下のような心理的な問題・法律上の不備も瑕疵にあたります。

  • 雨漏りや白アリ被害など、物件に物理的な傷や欠陥があるもの
  • 事故物件など、心理的要因のもの
  • 建築法に違反したもの
  • 売主が不動産の権利者ではなかった、借金の担保になっていたなど、権利関係の不備

リスクになる「隠れた瑕疵」の例

不動産取引においてトラブルになるのは、主に「隠れた瑕疵」です。
隠れた瑕疵とは、不動産を購入した時点において、買主にとって発見が極めて難しい瑕疵のこと。
以下が代表的な例として挙げられます。

  • 土台部分が白アリの被害を受けていた
  • 土壌が有害物質で汚染されていた
  • 壁の内部など、見えない部分にある配管が破損していた
  • 主要な木部が腐食していた

契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)とは

不動産における瑕疵のリスクに深く関係するのが、「契約不適合責任」という民法に規定されている法的な責任です。
これは売主が引き渡した目的物について、契約に適合していない・条件に反すると判断された場合に負うことになる責任で、買主側から瑕疵の修理・補修、減額などを請求されます。

買主が売主に行える請求

買主は以下のような売主に対する請求が認められており、買主の立場が有利な理由の一つになっています。

  • 追完請求:不具合があった場合に、補修するよう請求できる
  • 代金減額請求:追完請求ができない場合に、代金を減額するよう請求できる
  • 契約解除:契約の目的を達成できない時、売買契約自体を解除できる
  • 損害賠償請求:瑕疵によって生じた損害を賠償するよう請求できる

買主が瑕疵を知っていたかどうかに関わらず、契約条件に反する箇所の責任を追及されます。

瑕疵でトラブルを起こさないための対策

不動産売却で瑕疵によるトラブルを防ぐために、売却する前にできる限り正確に物件の状態を把握することをおすすめします。

物件状態の把握に有効なのが、インスペクションの実施です。インスペクションとは物件を点検して不備や欠陥を洗い出す調査で、建物の基礎にひび割れがないか・外壁のシーリングなどに劣化がないか・内部の床鳴りや傾きがないかなどを調べることができます。

また、取引時に物件状況確認書を作成し、損傷・故障・汚れなどがないかをできるだけ詳細に記録しておくこともおすすめです。

条件に反する箇所が契約書などで明記されている場合は免責になる

売主が契約不適合責任に関するリスクを低下させるには、売却対象が契約条件に反してしまうおそれのある箇所について、あらかじめ契約書に明記しておくことをおすすめします。
目的物(不動産)の該当箇所については責任を負わない旨を記載すると免責になるからです。
例えば、中古マンションの売却で壁の一部にヒビが入っている場合でも、そのことについて責任を負わない旨を契約書に明記できます。

今回のまとめ

瑕疵とは目的を果たせなくなる傷や欠陥などのことです。不動産においては居住という目的を果たせなくなる雨漏りなどが該当し、物理的なもの以外に、心理的な面や法律的な面から発生するものもあります。

瑕疵があると買主は売主に対して「契約不適合責任」を追及できるため、売主にとって瑕疵の存在はリスク。トラブルにならないための対策として、取引時の不動産の状況をなるべく正確かつ詳細に把握できるよう、インスペクションの実施をおすすめします。

Myアセットは不動産の仲介売買について豊富な実績があり、瑕疵のリスクについてもアドバイスさせていただきながらお客様の不動産取引をサポートできます。不動産売買をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。