不動産査定とは?方法や種類、流れを解説!

2024年5月15日
不動産査定とは?
不動産査定とは、その不動産の建物や土地の市場価値を専門家が評価し、推定の売却額を算出することです。
売主が不動産を売却する際に、どの程度の価格で売るべきかの目安になる重要な検討事項です。
しかし、査定結果は実際の売却価格を保証するものではありません。
なぜなら、最終的な売却価格は、市場の需要と供給、さらには購入希望者との交渉で決定するためです。
そのため、査定額はあくまでも売却時の予想金額であり、不動産会社や担当者によっても変動する可能性があることに留意しましょう。
不動産査定を行う専門家は、物件の立地、築年数、状態、周辺の市場動向など、複数の要因を総合的に考慮して査定額を算出します。
また、同じ物件であっても、査定を行う時期によって市場の状況は変化するため、査定額が変わることがあります。
このように、不動産査定は売却を検討する上で非常に重要なステップです。
査定額を盲信せず、市場の動向を見ながら適切な売却額を設定することが成功への鍵となります。
不動産査定の種類は3つ
匿名査定(AI査定)
匿名査定(AI査定)は、手軽に利用できる査定方法です。
個人情報を入力することなく、不動産の基本情報を入力するだけで、対象の不動産の大まかな市場価値を知ることができます。
匿名査定は、過去の取引データなどから即座に査定額を算出するため、迅速に査定結果を得ることが可能です。
ただし、詳細な情報を反映させることが難しく、正確な査定価格を算出することができないため、あくまでも参考価格としての利用が適しています。
より精度の高い査定が必要な場合は、机上査定や訪問査定をおすすめします。
机上査定(簡易査定)
机上査定(簡易査定)は、物件を直接訪問せずに行われる不動産査定の一つです。
この査定方法では、物件の所有者から提供された情報や公的な資料を基にして、不動産の価値を見積もります。
立地、築年数、間取り、土地・建物の面積など、基本的な物件情報が査定の精度を左右するため、提供情報の正確性が重要になります。
机上査定の大きなメリットは、前述した匿名査定(AI査定)より精度の高い査定結果がスピーディーに得られる点です。
物件の状態を直接確認する必要がないため、数日内に査定結果が提供されることもあります。
また、訪問査定と比較して手間がかからないため、まずは大まかな市場価格を知りたいという方に適しています。
訪問査定
訪問査定は、机上査定よりも正確な査定価格を算出したい場合に選ばれる査定方法です。
査定方法は、不動産会社の担当者が直接売却予定の物件を訪れ、その場で物件の状態を確認します。
物件の立地や周辺環境、建物の構造、内装の仕上がり、利用されている設備の種類と状態、さらには改修履歴など、多岐にわたる項目が詳細に調査されます。
訪問査定の大きな利点は、物件の独自性や改善点を不動産会社の担当者が把握できる点にあります。
そのため、より正確な市場価値が導き出されやすく、売却価格の設定に大きな信頼を置くことができます。
また、不動産会社の担当者と直接コミュニケーションを取ることで、物件の特性を正確に伝えたり、疑問点を質問したりすることも可能です。
しかし、訪問査定には時間と手間がかかるというデメリットもあります。
物件の準備や、査定のための立ち会いが必要になることも多く、査定結果を得るまでに数日から数週間を要することもあります。
不動産査定の算出方法
取引事例比較法
取引事例比較法は、売却対象の不動産と同様の特性を持つ、周辺地域の近い過去の成約事例を比較検討することによって、査定額を出します。
主に土地や区分マンションの価格を算出する際に利用される方法です。
特に、物件の立地や広さ、築年数といった基本的な条件が類似する不動産の価格を参考にします。
この方法の大きな利点は、実際の市場データに基づいた客観的な価格評価ができることです。
不動産市場の最新の動向を反映した価格設定ができるため、売主と買主双方に公平な価格提示が望めます。
取引事例比較法を用いた査定では、不動産専門家が市場データを詳細に分析し、査定対象物件の状態や市場環境の変化を考慮した上で、適切な価格を提示します。
そのため、信頼できる不動産会社を選ぶことが、この査定方法を最大限に活用する鍵となります。
原価法
原価法は、建物の再建築コストを基に価値を算出する手法で、積算法とも呼ばれます。
この方法は、主に建物の査定の算出に用いられます。
例えば、鉄筋コンクリート造の建物で、耐用年数を47年とした場合の計算方法を見てみましょう。
再調達単価を坪あたり31万円、延床面積を120㎡、築年数を10年として算出します。
計算式は以下です。
不動産価格 = 再調達単価 × 延床面積 ÷ 耐用年数 × 残存年数(耐用年数 – 築年数)
計算例:
- 再調達単価:31万円
- 延床面積:120㎡
- 耐用年数:47年
- 残存年数:37年(※耐用年数47年 – 築年数10年)
計算過程は次の通りです。
31万円 × 120㎡ ÷ 47年 × 37年 = 約2,928万円
この計算により、建物の現在の査定価値は約2,928万円と算出されます。
原価法による査定では、建物の条件を考慮して価値を評価することができ、特に耐用年数に基づいた正確な査定額を求めることが可能です。
ただし、市場の需要や供給の動向など、外部の経済状況は直接反映されないため、最終的な売却価格としては、他の査定方法と組み合わせて利用することが一般的です。
収益還元法
収益還元法は、特に収益物件の不動産査定において重要な手法です。
この方法では、不動産から将来得られるであろう収益を現在価値に還元して査定額を算出します。
収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」の二つのアプローチがあります。
直接還元法
直接還元法は、不動産から得られる年間の純収益を、あらかじめ定められた還元利回りで割り、不動産の価値を算出する方法です。
計算式は以下となります。
不動産価格 = 1年間の純利益 ÷ 還元利回り
例として、家賃収入が月14万円の一戸建て、1年にかかる経費10万円、還元利回り6%で計算します。
- 年間家賃収入: 14万円 × 12ヶ月 = 168万円
- 1年間の純利益: 168万円 – 10万円 = 158万円
- 不動産価格:158万円 ÷ 6% = 約2,633万円
上記の例では、不動産価格が約2,633万円になります。
DCF法
DCF法は、不動産投資における将来のキャッシュフローを予測し、それを現在価値に割り引くことで不動産の価値を算出するより複雑な方法です。
この手法では、将来にわたる収入と支出を年ごとに予測し、それぞれのキャッシュフローを特定の割引率で現在価値に割り引いて合計します。
DCF法は、特に将来の収益や支出が変動する可能性が高い物件や、長期的な投資計画を持つ不動産の評価に有効です。
収益還元法は不動産の将来性を評価する上で重要な手法であり、特に収益物件の売買や投資判断において欠かせない考え方です。
直接還元法とDCF法は、それぞれの物件特性や投資戦略に応じて選択され、適切な不動産価値の算出に貢献します。
不動産査定の流れ
1.事前準備をする
不動産査定をスムーズに進めるためには、事前に準備する書類があります。
以下は、査定依頼前に準備しておくべき主な書類のリストです。
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
- 不動産登記簿謄本(登記済証)
- 固定資産評価証明書
- 建築確認証明書(新築や増改築をした場合)
- 間取り図や建物配置図
- 管理組合の規約や管理費、修繕積立金の状況(マンション等の集合住宅の場合)
- リフォームや修繕の履歴、保証書など
上記の書類を揃えることで、不動産の現状や権利関係を正確に伝えることができ、査定結果の精度を高められます。
また、準備する書類は物件や状況によって異なる場合があるため、事前に不動産会社に確認することをおすすめします。
2.机上査定(簡易査定)を依頼する
事前準備が整ったら、不動産会社に机上査定を依頼します。
情報の提供方法は、不動産会社によって異なりますが、電話、メール、オンラインフォームなど様々な方法があります。
3.机上査定(簡易査定)の結果を確認する
机上査定(簡易査定)を依頼した後、数日以内に不動産会社から査定結果が来ます。
この結果を見て、本格的に不動産売却を進めるかを検討しましょう。
4.訪問査定を依頼する
不動産売却を進めることが決まったら、訪問査定を依頼をしましょう。
不動産会社に電話やメール、Webから依頼をして、訪問査定の日程を決めます。
訪問査定では、不動産会社の専門家が直接物件を訪れ、建物の状態、立地条件、周辺環境などを詳細に調査します。
査定時には物件の特徴や改修歴など、価値を高める情報を伝えることも大切です。
5.訪問査定の結果を確認する
訪問査定の後、不動産会社から査定結果が報告されます。
提供された査定額とその根拠を入念に確認し、質問や疑問点があれば、担当者に積極的に質問しましょう。
訪問査定の結果は、売却戦略を立てるうえで重要な情報となります。
査定額の背後にある評価基準や市場を理解することで、売却価格の設定や交渉戦略に活用できます。
訪問査定結果に納得がいかない場合は、他の不動産会社にセカンドオピニオンを求めるのも一つの選択肢です。
最終的な売却決定を下す前に、複数の意見を参考にすることで、より納得のいく売却が期待できるでしょう。
不動産査定ならMyアセット
Myアセットでは、不動産の訪問査定を無料で行っております。
すぐ売却したいとお考えの方はもとより、将来的に売却する可能性がある方もぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
不動産査定は、物件の売却計画を立てる際に必要なプロセスです。この記事で紹介した、不動産査定の基本と流れのポイントをまとめました。
- 不動産査定とは、不動産の専門家が物件の市場価値を評価し、推定の売却額を算出することです。
- 査定方法には、匿名査定(AI査定)、机上査定(簡易査定)、訪問査定の3つがあります。
- 査定額の算出方法として、取引事例比較法、原価法、収益還元法があります。
- 査定を受ける前には、登記簿謄本や固定資産税評価証明書など、必要な書類を準備しておきましょう。
- 査定結果は、最終的な売却価格の保証ではありません。市場動向や買主のニーズに応じて変動する可能性があります。
不動産査定を有効に活用して物件の適正な売却価格を把握することで、投資利益の最大化につながります。 精度の高い査定結果を得るためには、信頼できる不動産会社を選び、物件の詳細な情報提供を心がけましょう。