空き家の解体費用の相場とは?空き家を売却する時の注意点も解説
2025年1月21日
近年、日本では空き家の増加が社会問題となっています。 令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万戸に上り、増加傾向が続いています。
空き家の所有者は、建物の老朽化や管理の負担から解体を検討するケースが多くありますが、費用面での不安から決断できない方も少なくありません。 本記事では、空き家の解体費用の相場や費用を抑えるポイント、解体・売却時の注意点について解説します。
参照元:令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 | 総務省(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf)
空き家の解体費用の相場
空き家の解体費用は、建物の規模や構造によって大きく異なります。 費用の目安を知っておくことで、予算の計画が立てやすくなります。
ここでは、建物の構造別の坪単価と、一般的な木造住宅の規模別の解体費用について解説します。
【構造別の解体費用の目安】
構造 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|---|
坪単価 | 5~8万円/坪 | 4~7万円/坪 | 6~9万円/坪 |
※当社参考の解体費用
【エリア別木造住宅の解体費用の目安】
エリア | 1坪あたりの費用 | 50坪の費用 |
---|---|---|
北海道・東北 | 3.2万円 | 160万円 |
関東 | 3.7万円 | 185万円 |
中部 | 3.5万円 | 175万円 |
関西 | 3.5万円 | 175万円 |
中国・四国 | 3.3万円 | 165万円 |
九州・沖縄 | 3.3万円 | 165万円 |
参照元:空き家の解体費用について|国土交通省(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001351140.pdf)
また、解体費用は、建物の構造や規模、立地条件によって変動します。一般的な費用構成は以下の4項目です。
- 労務費用(人件費、重機使用料)
- 廃棄物処理費用
- 廃棄物運搬費用
- 仮設費用(足場、養生など)
- アスベスト対策費用
実際の費用は、具体的な状況により異なりますので、正確な費用は複数の解体業者から見積もりを取って、解体依頼することをおすすめします。
空き家の解体費用を抑えるポイント
自治体の補助金や助成金を活用する
例えば、東京都墨田区では「老朽危険家屋除却費等助成制度」があり、対象となる建物の解体費用の一部(上限50万円)を助成しています。 また、大田区では「木造住宅除却工事助成事業」により、最大で解体費用の3分の2(上限75万円)を助成しています。(助成期限を令和8年3月末まで延長しました)
制度の内容や条件は自治体により異なりますので、お住まいの自治体のホームページで、空き家解体に関する補助金・助成金制度を確認しましょう。 詳細は各自治体の担当窓口にお問い合わせください。
参照元:墨田区|https://www.city.sumida.lg.jp/anzen_anshin/kurasinoanzen_ansin/akiya-taisaku/roukyuukaokuzyokyaku.html
参照元:大田区|https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/machizukuri/bousai/mokuzoujyokyaku.html
解体作業の時期を考える
解体工事の費用は、季節や時期によって変動することがあります。 一般的に、梅雨や台風、猛暑が続く時期であることから6月~9月は作業効率が下がるため、費用が増加する傾向にあります。 一方、年度末(1~3月)は解体需要が増加するため、費用が高くなりやすい時期です。
春や秋の気候が穏やかな時期に工事を計画すると、作業効率が良く、費用を抑えられる可能性があります。ただし、解体を急ぐ必要がある場合は、時期にこだわりすぎる必要はありません。
解体業者の選定を行う
解体業者の選定は費用面で重要なポイントです。複数の業者から見積もりを取得し、費用の内訳を比較しましょう。 見積もり時には以下の点に注意しましょう。
- 見積もり内訳の詳細確認
- 追加費用の有無
- 業者の実績や評判
- 廃棄物処理の方法
- 安全対策の内容
業者選定では、単に価格の安さだけでなく、適切な施工能力があるかどうかも重要な判断基準となります。
空き家を解体するメリット・デメリット
空き家の解体を検討する際は、様々な観点から判断することが重要です。 解体にはメリットとデメリットの両方があり、建物の状態や立地条件、将来の活用計画などを考慮して決める必要があります。 以下に主なメリットとデメリットをまとめました。
メリット
- 建物の倒壊や火災などの危険性を防止できる
- 土地の活用方法を自由に選択できる
- 更地になるため、管理する負担が軽減する
デメリット
- 解体費用の金銭的負担が発生する
- 土地の固定資産税が上がる可能性がある
- 解体後の土地の管理が必要になる
これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、自身の状況に合わせて判断することをお勧めします。 建物の老朽化の程度や周辺環境への影響、将来の土地活用の可能性などを考慮することが大切です。 また、判断に迷う場合は、専門家に相談することで適切な選択につながります。
空き家を解体・売却する前に検討すべきこと
解体せずに売却を検討する
空き家は、必ずしも解体する必要はありません。 建物の状態が良好な場合や立地条件が良い場合は、建物をそのまま売却する選択肢も考えられます。 古家付き土地として売却することで、解体費用の負担なく売却できる可能性があります。 また、リフォームやリノベーションを行うことで、中古住宅として売却することもできます。
お住いの自治体に支援制度がないかを確認する
空き家対策は全国的な課題となっており、多くの自治体が独自の支援制度を設けています。 補助金や助成金の他にも、空き家バンクへの登録制度や解体後の土地活用に関する支援制度など、様々な制度があります。 自治体の空き家対策窓口に相談することで、活用できる制度を把握することができます。
不動産会社に相談する
空き家の処分方法は、建物の状態や立地条件によって変わってきます。 プロである不動産会社に相談することで、解体か売却か、適切な判断を行うことができます。 また、不動産会社は地域の相場や需要を把握しているので、売却価格の目安や、有効な売却方法についてもアドバイスを受けることができます。
空き家を売却したい場合は不動産査定がおすすめ
空き家の売却をお考えの方は、Myアセットにご相談ください。 当社では、契約不適合責任を負えない物件や検査済証がない建物、不具合がある物件など、様々な条件の空き家に対応しています。
1都4県での豊富な取引実績を持つ専門スタッフが、建物の状態や立地条件を総合的に判断し、適切なアドバイスを提供いたします。また、数十社の金融機関との取引実績により、安定した買取体制も整えています。解体と売却、どちらが有利かも含めて丁寧にご説明いたしますので、ぜひご相談ください。
まとめ
空き家の解体を検討する際は、費用面だけでなく、様々な要素を考慮する必要があります。具体的には、建物の状態、立地条件、補助金制度の有無、解体後の活用計画などです。
また、必ずしも解体が唯一の選択肢ではありません。建物付きでの売却やリフォーム後の活用など、状況に応じて様々な選択肢があります。 判断に迷う場合は、自治体の窓口や不動産会社に相談することをお勧めします。
専門家のアドバイスを受けることで、より良い選択を行うことができます。 空き家の問題は簡単には解決できないかもしれませんが、正しい情報を得ることで、適切な対応が可能となります。