収益物件の売却時、修繕工事は必要?修繕費用の目安をご紹介

2023年12月18日
目次
区分収益物件の売却にあたり、修繕してから売却すべきか、それとも修繕せずに売却すべきかというテーマがたびたび議論になります。
昨今では、修繕せずに売却したほうが良いという意見も多く見られますが、どちらを選択するかは物件の状況やオーナーの意向しだい。修繕せずに売却するメリット・デメリット、修繕してから売却するメリット・デメリットを比較し、物件固有の事情も加味しつつ選択肢を検討しましょう。
なお当ページでは、一般的な修繕(ひび割れなどの原状回復工事)のほかにも、軽微なリフォームを含めた意味で「修繕」という言葉を用いています。
修繕せずに売却するメリット
修繕に掛かるコストを節約できる
対象物件の広さや修繕内容にもよりますが、修繕に要するコストは決して安くありません。一般的には100万円以上、高額な例では300~700万円ほど掛かることもあります。
修繕せずに売却すれば、売主がこれらのコストを負担する必要はありません。修繕費を節約できた分、次に購入する収益物件のグレードを上げることも可能です。
すぐに売却活動を始められる
修繕には、コストだけでなく時間もかかります。修繕箇所にもよりますが、水周りだけでも最低1週間ほどはかかるでしょう。物件全体を修繕するためには、2か月ほどを要することもあります。
修繕せずに売却する場合でもハウスクリーニングは必要ですが、ハウスクリーニングに要する時間は約1日。思い立ったらすぐに売却活動を始められます。
自分で物件をリフォームしたい買主が注目してくれる
収益物件を探している投資家の中には、「このような物件なら空室率が下がる」「このような物件なら家賃を上げられる」という自分なりの信念を持っている方が少なくありません。
そのような投資家にとって、修繕・リフォーム済みの物件は対象外。逆に、修繕されていない物件に注目します。
修繕せずに売却するデメリット
内覧時の印象が悪い
全く修繕をせずに物件を引き渡すことを「現状渡し」と言いますが、現状渡しを前提とした物件は、壁のひび割れや床材・壁紙の剥がれなど、随所に印象の悪い部分が目立つものです。
あまりにも汚損箇所・破損個所が多い物件の場合、内覧に来訪する投資家は良い印象を持たないでしょう。
修繕されていないことを理由に買主が現れない可能性もある
自分で物件を修繕・リフォームしたい投資家がいる一方で、自分では修繕・リフォームをするつもりのない投資家もたくさんいます。
そのような投資家にとって、修繕がされていない物件は購入対象から外れる可能性が高いでしょう。
修繕してから売却するメリット
内覧時の印象が良い
修繕・リフォームが完了した物件は、内覧に訪れた多くの投資家に良好な印象を残します。たとえ事前の修繕・リフォームを望んでいない投資家であっても、生活感の残る汚れた物件よりは、見た目のフレッシュな物件のほうに良い印象を持つことでしょう。
空室期間を少なくしたい買主からの需要が集まりやすい
修繕やリフォームが完了している収益物件なら、買主は購入後、すぐにでも入居者募集活動を始められます。物件が新しいという理由で、募集から早々に入居者が決まるかもしれません。
なるべく空室期間を少なくしたいという投資家には、修繕済みの物件が魅力的に見えるでしょう。
設備の美しさが買主への強いアピールポイントになる
水周りを始めとした住宅設備の修繕・新調は、入居者に対する強いアピールポイントになります。すなわち、買主に対する強いアピールポイントにもなる、ということです。
修繕してから売却するデメリット
修繕に要したコストを売却額に上乗せできるとは限らない
修繕に要したコストを上乗せして物件を売り出した場合、単純に「高い」という理由で買主が集まらない可能性もあります。買主が集まらなければ、売主は売出価格を見直す必要に迫られるでしょう。
修繕に要したコストを、単純に売却額に上乗せできるとは限りません。逆に、修繕せず安く売りだしたほうが実質的にお得となるケースも多々あります。
売却活動を始める時期が遅れる
修繕やリフォームには時間がかかるため、その分、売却活動が遅れることになります。
修繕を始める時期を見誤ると、引っ越しシーズンなどを狙っている投資家の需要を逃すことにもなりかねません。
修繕に掛かる費用の目安
参考までに、主要な箇所に掛かる修繕費の目安を確認しておきましょう。
- 壁紙の張り替え(6畳)…約5~7万円
- 床の張り替え(6畳)…約8~13万円
- ドア修繕(1枚)…約5万円
- キッチン…約50~150万円
- 浴室…約50~200万円
- トイレ交換…約20~50万円
- 給湯器交換…約10~25万円
- 洗面台交換…約10~50万円
設備や工事内容のグレード、部屋の広さ等によっては、よりコストが掛かることもあるでしょう。
【まとめ】物件個別の状況やオーナーの意向で決めましょう
修繕してから収益物件を売却するべきか、それとも修繕せずに区分収益物件を売却するべきかというテーマについては、統一の結論がありません。
必ずしも修繕に要した費用が売却額に上乗せできるとは限らないことを理解しつつ、物件個別の状況やオーナーの意向に応じ、適切と判断されるほうを選ぶようにしましょう。