売却前に知っておきたい!区分マンション売却の流れとタイミングを解説
2025年2月25日
目次
区分マンションを所有している方の中には、「いつ売却すれば良いのか」「どのような手続きが必要なのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 区分マンションの売却をスムーズに進めるために、売却までの一連の流れをしっかり把握しておくことが大切です。
本記事では、区分マンション売却の基本的な流れと売却タイミングについて詳しく解説します。 また、区分マンションにかかる諸経費なども併せて解説していますので、これから売却を検討している方の参考になれば幸いです。
区分マンションとは、一棟マンションとの違い
区分マンションとは、マンションの一室を指します。 マンション全体を所有するわけではなく、特定の一室を所有する形態が特徴です。 そのため、管理費や修繕積立金などは各所有者が一室ごとに負担します。
なお、区分マンションと対比されるものとして、一棟マンションがあります。 区分マンションと一棟マンションに投資する場合の違いを、以下の表にまとめました。
項目 | 区分マンション | 一棟マンション |
---|---|---|
所有部分 | 一部屋のみ(専有部分) | 建物全体と敷地 |
購入価格 | 比較的低価格 | 高価格 |
管理負担 | 管理組合が大半の管理業務を行う | オーナーが全体管理を行う (または管理会社に委託) |
空室リスク | 空室リスクは1部屋分 | 全部屋の空室リスクを負う |
収益性 | 比較的低め(賃料収入が1部屋分) | 高収益が期待できる(複数部屋からの賃料収入) |
売却のしやすさ | 比較的売却しやすい | 売却には時間がかかる場合がある |
管理コスト | 管理費や修繕積立金などを支払う | 建物全体の維持管理費を自己負担 |
修繕の負担 | 共有部分は管理組合が対応(費用は共有負担) | 修繕計画や費用を全てオーナーが負担 |
区分マンション売却の流れ
区分マンションを売却する流れには、以下の6つのステップがあります。
- 必要な書類を準備する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を開始する
- 売買契約を結んで買主に引き渡す
- 残代金の受取
- 確定申告をする
それぞれ、見ていきましょう。
1.必要な書類を準備する
区分マンションを売却する際には、まず必要な書類を準備することから始まります。
必須ではない書類もありますが、売却手続きを円滑に進めるために重要な書類もありますので、早めに用意することをおすすめします。
書類の名称 | 取得方法 | 一主に必要なタイミング |
---|---|---|
本人確認書類 (運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど) | 自分で用意 | 媒介契約時から |
登記済権利証または登記識別情報 | 登記完了時に法務局から交付 | 媒介契約時から |
間取り図と測量図 | 間取り図:不動産会社などに依頼 測量図:不動産購入時に登記所から交付済み |
媒介契約時から |
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書 | ・納税通知書:市区町村から郵送 ・評価証明書:市区町村窓口に申請 |
販売活動中 |
物件購入時の重要事項説明書 | 不動産購入時に不動産会社から交付済み | 販売活動中 |
マンションの管理規約・維持費関連書類など | 入居時にマンション管理組合から交付済み | 販売活動中 |
印鑑証明 | 市区町村窓口に申請 | 売買契約・買主への引き渡し時 |
銀行口座の通帳(銀行振り込み先情報) | 自分で用意 | 売買契約・買主への引き渡し時 |
※書類が必要になるタイミングや必須であるかどうかは、売却する物件や不動産会社の判断、買主の希望によって異なることがあります。
2.不動産会社に査定を依頼する
次に、区分マンションの査定を不動産会社に依頼します。 この際、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。理由は、1社だけでは適正な価格を判断するのが難しいからです。 複数社に依頼することで、各社の査定価格を比較し、より正確な市場価格を把握しやすくなります。
3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定結果を確認し適した不動産会社と媒介契約を結びます。 媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
以下の表にて、それぞれの違いをまとめましたので、ご確認ください。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
依頼できる会社数 | 複数可能 | 1社のみ | 1社のみ |
自己発見取引 (自分で買主を見つける取引) |
できる | できる | できない |
契約期間 | 指定なし | 最長3か月 | 最長3か月 |
レインズへの登録義務 | 任意 | 契約締結から7日以内 | 契約締結から5日以内 |
販売状況の報告義務 | 法令上の義務はない | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
参照元:一般媒介契約について | 公益財団法人全日本不動産協会(https://www.zennichi.or.jp/law_faq/%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/)
4.売却活動を開始する
媒介契約を結んだ後、不動産会社による売却活動が始まります。 不動産情報サイトやチラシ、顧客のネットワークを活用し、物件の売却活動を行います。
売却活動の期間は物件によって異なりますが、目安として3~4ヶ月を見込んでおきましょう。 当然、3~4ヶ月で必ず売れるわけではありませんが、時間がかかりすぎる場合、不動産会社と相談して売出価格の調整を検討しましょう。
5.売買契約を結んで買主に引き渡す
買主が見つかったら、売買契約を結びます。 物件の状態や設備について買主に説明し、契約書に署名・捺印します。 また、売買契約を結ぶ際には、手付金を受け取るのが一般的です。契約内容についてはしっかり確認し、トラブルを避けるために不明点は不動産会社に確認しましょう。
6.残代金の受取
残代金の受取は、物件の引き渡しとともに行われる売却手続きの最終段階です。 売買契約で決められた引き渡し日に、買主から残代金が売主に支払われます。買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関が売主の指定口座に直接送金を行います。同時に、司法書士によって所有権移転登記が手続きされるため、法律上も物件の所有権が買主に移ることになります。
この際、売主は購入時のローンが残っている場合、残債の一括返済を行い、抵当権の抹消手続きも進めます。また、不動産会社に仲介手数料を支払い、全ての費用が清算されます。残代金を受け取ることで、売主にとって売却手続きの主要部分は完了し、物件の引き渡しが正式に終わることになります。
7.確定申告をする
区分マンションを売却した場合、利益が発生すると翌年に確定申告を行う必要があります。 譲渡所得税が課される場合は、売却で得た利益(譲渡所得)に基づいて税額が計算されます。 譲渡所得は、売却価格から購入価格、購入時や売却時の諸経費を差し引いて算出されます。 ただし、居住用財産として売却した場合には、最大3,000万円の特別控除が適用されるため、課税額を大きく減らせる可能性があります。
確定申告を行う際には、売買契約書や登記簿謄本、不動産会社から受け取った領収書などを用意しましょう。これらの書類を基に税務署で手続きを行います。また、確定申告の期間は売却した翌年の期日を過ぎるとペナルティが科される可能性があります。 スムーズな申告のためにも、事前に必要書類を揃え、税理士や専門家に相談するのも一つの手段です。譲渡所得税を正確に計算し、税務リスクを回避するためにも慎重に進めることが大切です。
参照元:No.3302 マイホームを売ったときの特例 | 国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)
区分マンション売却するタイミングは?
所有期間が5年間を超えたタイミング
区分マンションを売却するタイミングの一つは、所有期間が5年間を超えたタイミングです。 不動産の所有期間が5年間を超えると、長期譲渡所得として売却益に対する税率が軽減されます。
具体的には、5年以内に売却する場合の税率は短期譲渡所得として39.63%に設定されていますが、5年間を超えると長期譲渡所得となり、税率が20.315%に下がります。 この差は非常に大きく、売却益が多いほど節税額は大きくなるため、売却することで得られる利益が増える可能性があります。 したがって、所有期間が5年間を超えたタイミングは、区分マンションを売却する際の重要な判断材料となります。
参照元:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 | 国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)
参照元:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 | 国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)
大規模修繕が終わったタイミング
区分マンションを売却するもう一つのタイミングは、大規模修繕が終わった直後です。 大規模修繕が行われたマンションは、建物全体の景観や機能が改善されるため、買主にとって魅力的に映ります。
エントランスや外壁、共有部分の改修が行われた場合、マンション全体の価値が向上し、売却価格にも良い影響を与えることがあります。 また、修繕が完了した直後であれば、買主は当面の間、大規模な修繕費の負担を心配する必要がないため、購入意欲が高まりやすくなります。
耐用年数が近づいたタイミング
耐用年数が近づいたタイミングも、区分マンションを売却する一つの目安です。 不動産の耐用年数とは、税法上で建物の減価償却が認められる期間を指し、この期間が終了すると減価償却費を計上することができなくなります。
その結果、所得税の節税効果が減少し、所有し続けるメリットが薄れてしまいます。特に投資用として区分マンションを所有している場合、耐用年数が終了する前に売却することで、次の投資物件への資金を確保しつつ、税制上のメリットを最大限に活用することができます。
物件の種類(住宅用) | 法定耐用年数 |
---|---|
木造・合成樹脂造 | 22年 |
鉄骨造(骨格材の肉厚3㎜以下のもの) | 19年 |
鉄骨造(骨格材の肉厚3㎜を超え、4㎜以下のもの) | 27年 |
鉄骨造(骨格材の肉厚4㎜超) | 34年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
参照元:耐用年数(建物/建物附属設備)(https://www.keisan.nta.go.jp/h29yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html)
不動産市場が上がっているタイミング
不動産市場が上がっているタイミングでの売却も、区分マンションを高値で売却するための良い機会です。 不動産市場は景気や経済動向に左右されやすく、需要と供給のバランスによって価格が大きく変動します。 不動産価格が高騰している時期に売却することで、購入時よりも高い価格で売却できる可能性が高まります。
不動産価格の動向は国土交通省の不動産価格指数や市場レポートなどで確認することができます。市場が高騰している時に売却を検討し判断することで、売却益を最大化し、次の投資機会を有利に進めることが可能になります。
区分マンション売却に掛かる諸経費
区分マンションを売却する際には、いくつかの費用が発生します。 以下の表で代表的な諸経費について詳しく説明します。
費用項目 | 内容 |
---|---|
仲介手数料 | 不動産売却が成功した時の不動産会社への報酬です。売却価格が400万円以上の場合、「売却価格の3% + 6万円 + 消費税」を加えた金額がかかります。 |
印紙税 | 印紙代は契約金額に応じて異なります。例えば1,000万円超〜5,000万円以下の場合は軽減税率が適用されて、印紙税は1万円です。 |
抵当権抹消費用 | 住宅ローンを完済する際に、抵当権を抹消するための手続き費用です。司法書士に依頼する場合、1〜2万円程度の手数料がかかります。 |
ローン一括返済手数料 | 住宅ローンを一括返済する際に発生する手数料です。金融機関によって異なりますが、一般的には数万円程度かかります。 |
譲渡所得税 | 売却によって得た利益に対して課せられる税金です。長期譲渡所得(所有期間5年超)と短期譲渡所得(5年以下)で税率が異なり、長期の場合は約20%、短期の場合は約39%です。 |
印紙税
売買契約書に貼付する印紙代です。 売却額によって税額は変動しますが、数千円から数万円程度かかります。
印紙税は以下の表に記載いたします。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
引用元:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 | 国税庁(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm)
抵当権抹消費用
ローンが残っている場合、売却と同時に抵当権を抹消する費用がかかります。 抵当権抹消登記費用は、不動産1個につき1,000円です。司法書士に依頼する場合は、別途費用がかかります。
ローン一括返済手数料
ローン残債がある場合、売却時に一括返済する必要があり、その際に金融機関に手数料を支払うことになります。 金融機関によって手数料は異なりますが、5,000円~30,000円が目安です。売却前に金融機関に確認しておくとよいでしょう。
譲渡所得税
譲渡所得税は、物件を売却して利益が出た場合にかかる税金です。 所有期間が5年を超えるか否かで税率が異なり、長期保有(5年以上)の場合は20.315%、短期保有の場合は39.63%の税率が適用されます。
参照元:土地や建物を売ったとき | 国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)
区分マンションの売却は信頼できる会社へ
区分マンションを売却する際には、信頼できる不動産会社に依頼することが重要です。 不動産売却は、専門的な知識と経験が必要なため、適切なサポートを受けられる不動産会社を選びましょう。 信頼できる不動産会社は、適切な売却価格の設定や売却活動のサポート、契約手続きのサポートなど、さまざまなアドバイスを提供します。
当社Myアセットでは、不動産の売却の仲介を行っています。 豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、お客様のニーズに合わせたプランをご提案いたします。 区分マンションの売却をご検討中の方は、ぜひMyアセットにご相談ください。
まとめ
区分マンションの売却は、適切なタイミングと正しい手順を理解することが大切です。 区分マンションの売却には、多くのステップを踏む必要がありますが、各ステップをしっかり理解して進めることで、スムーズに進めることができます。
また、売却に伴う諸経費をしっかり把握し、事前に準備しておくこともスムーズな手続きにつながります。 信頼できる不動産会社と連携しながら、納得のいく売却を目指しましょう。