不動産投資のリスク

不動産投資での地震リスクはどう対策する?

2021年11月15日

不動産投資をしている物件で地震が発生した場合、ヒビや液状化などが生じ、収益物件を賃貸できなくなったり、第三者の負傷に対する賠償責任が発生したりするおそれがあります。

今回は不動産投資における地震のリスクと、それらを軽減するための対策についてご説明します。不動産投資を始めようとされている・行っている方はぜひご参考ください。

地震が発生するとどうなる?

建物への被害

実際に発生した地震のデータで新耐震基準の建物について確認すると、倒壊などの大きな被害が発生したケースは少なかったことがうかがえます。

2016年4月に発生した熊本地震は、震度7が2回観測される非常に大きな地震でした。
同地震で震度7が観測された地域について日本建築学会が調査を実施したところ、旧耐震基準と比較すると、新耐震基準の倒壊率は半分以下であると判明しています。

  • 旧耐震基準(1981年5月以前に建築)の木造建築物:倒壊率28.2%(214棟)
  • 新耐震基準(1981年6月以降に建築)の木造建築物:倒壊率10.9%(83棟)

あくまでも過去のデータの比較ですが、新耐震基準の建物については、建物の倒壊まで至る可能性は低いといえるかもしれません。
ただし、倒壊には至らなくても、建物にヒビが入ったり液状化(地震によって地面が液体状になり、建物の傾きや沈下が生じること)が発生したりといった被害は発生する恐れがあります。

参考:国土交通省「『熊本地震に置ける建築物被害の原因分析を行う委員会』報告書のポイント」
https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf

オーナーとしてするべき対応

投資先の不動産が地震の被害に遭った場合、オーナーとして以下のような対応が必要になります。

  • 入居者の安否確認
  • 建物の被害確認
  • 修繕の計画

地震が発生した場合にオーナーが第一にするべきことは、入居者の安否確認です。

次に建物への被害があったかどうか確認し、修繕が必要な場合はその計画を立てます。
修繕計画のポイントは「何をどの程度修理するのか」「どのくらいの費用がかかるか」の2点。早めに見積もりを出してもらい、必要な費用・スケジュールを設定することがおすすめです。

管理会社に委託している場合は、入居者の安否確認・建物の修繕計画いずれも相談しながら連携をとって進めていきましょう。

地震が起きた際のリスク

地震によって収益物件に影響が出た場合は、以下のような理由からローン返済が難しくなるおそれがあります。

  • 賃貸を続けられず、収入が得られなくなる
  • 建物を修繕するための費用を負担しなければならない
  • 入居者や第三者が負傷し、損害賠償になる

地震によって建物が倒壊しなかったとしても、マンションの部屋の壁に大きなヒビが入ったなどの被害がある場合は、賃貸を続けられなくなるかもしれません。
修繕が済めば再び貸し出せますが、修繕している間は家賃収入を得られなくなってしまうのです。

また、建物が損傷している場合、修繕費用が発生してしまうので、その際に加入している災害保険を利用できるかどうか、保険会社に確認しましょう。

損害賠償の原因はメンテナンス不足

もし物件の倒壊によって入居者や第三者が死傷した場合は、オーナーの責任として損害賠償を請求される場合があります。ただし、それら賠償の原因は地震自体ではなく、日頃のメンテナンス不足によるものです。

賠償責任とは、故意や過失によって損害が生じた場合の責任のことを言います。 地震は自然災害であり、これによって発生した被害は故意や過失によるものではないので、責任が生じず、基本的に賠償の対象にはなりません。
例えば、大地震によって柱が倒れてしまい、巻き込まれて入居者が負傷した場合。柱に欠陥が無ければ、基本的に賠償責任は発生しないのです。

しかし、建物に瑕疵(本来あるべきでない欠陥)や老朽化した部分があり、それが地震によって損壊した場合は、賠償責任が発生します。必要な修繕を行っていなかったという点に故意や過失が認められるからです。
例えば、地震の前から特定の柱に修繕すべき欠陥があったとします。地震によって欠陥のある柱が倒壊して入居者が負傷した場合、柱の修繕を怠っていた点に故意や過失があると言えるので、賠償責任が生じるのです。

地震リスクの対策

地震リスクに備えて、オーナーがしておくべき対策を解説します。

地盤が硬い土地を選ぶ

不動産投資の物件を選ぶ際は、地盤が硬い土地を見極めることがおすすめです。

地盤がゆるい土地は、地震によって大きな被害が発生する可能性が高くなります。
構造がしっかりした建物であっても、地盤には注意しましょう。建っている場所の地盤が脆弱な場合は、地震の揺れや液状化によって傾いてしまうおそれがあります。

物件が新耐震基準に対応しているか確認する

投資用不動産は、建物が新耐震基準に対応しているかを確認してからの購入がおすすめです。

物件の建築確認日が1981年(昭和56年)6月1日以降であれば、新耐震基準が適用されています。
震度7が観測された熊本地震のデータでも旧耐震基準に比べて新耐震基準の物件は倒壊率が低く、地震が発生した場合に被害を少なく抑えられる可能性があると言えるでしょう。

地震保険に加入する

地震保険への加入も選択肢の1つになります。

地震保険とは、地震を原因とする火災や津波による被害を補償してくれる保険。
火災保険は地震による被害は補償外とするのが一般的ですが、地震保険であれば、地震の揺れによってガス管が破裂して起きた火災や、振動によって暖房が可燃物に接触して発生した火災などの被害をカバーできます。

異なるエリアに分散して投資する

投資先を複数エリアに分散することもおすすめです。

複数の不動産に投資する場合、同じエリア・近いエリアの物件に集中して投資してしまうと、地震が発生した際に投資している全物件に被害が生じてしまうおそれがあります。
異なるエリアに分散して投資しておけば、一部の投資先に地震被害が生じても、他の物件には被害が生じないことが期待できるかもしれません。

今回のまとめ

新耐震基準の建物であれば地震で建物が倒壊する可能性は一般に高くはありませんが、ヒビや液状化などによって損害が発生するおそれがあります。
収益物件の地域で地震が発生した場合は、入居者の安否確認や建物の被害確認を早めに実行しましょう。物件が破損した場合は修繕が必要ですが、修繕には費用がかかることに加え、修繕中に賃貸ができなくなるかもしれません。

また、投資用不動産の地震被害を抑えるためには、地盤が硬い土地や新耐震基準の建物を選ぶのがおすすめ。地震保険に加入したり投資先の地域を分散したりすることも、地震リスクへの対策になります。

地盤や耐震基準・建築確認日については、豊富な実績を持つ不動産会社に相談するのが有効です。投資用不動産の購入や管理運用についてはMyアセットで一貫して対応できますので、不動産投資をお考えの方はぜひお問い合わせください。