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不動産の競売とは?収益物件は安く購入できる?

2021年9月29日

初期コストを節約して不動産投資を行いたいという方に向け、競売不動産を活用した不動産投資について詳しく解説します。競売の基礎、購入のメリット・デメリットなどをまとめましたので、不動産投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

競売とは債務不履行になった不動産が売られること

土地や建物などの不動産を購入する際、ほとんどの場合は金融機関で25年ローンや35年ローンなどを組み、毎月の家賃収入から金融機関へ返済していきます。

ところが、状況によっては、地域の賃貸需要低下で家賃を下げざるを得ない・空室が発生したなど様々な事情により、ローンを計画通りに返済できなくなる恐れも。その場合は改めて金融機関に相談をして返済計画を立て直すことになりますが、返済計画の立て直しをしてもローンの完済が難しく、他に方法がないと判断された場合には、債権者たる金融機関が少しでも残債を回収するために裁判所に申し立てをします。すると、裁判所が担保に入っている不動産を差し押さえ、当該不動産を売却。これが『競売』です。
競売の結果、買主が現れれば、全額とは限りませんが金融機関は債務者に貸したお金を取り戻すことができます。

競売にかけられた物件の評価額は、一般的な不動産物件とは異なる競売特有の評価方法が採用されるため、相場よりも割安になる場合が多いです。

不動産競売のメリットは相場より安く購入できること

不動産競売では、相場よりも割安で不動産を購入できることがメリット。競売物件は、相場と比べて3割程度安い価格で購入できる場合が多いと言われています。
では、なぜ競売だと不動産が割安になるのでしょうか。主な理由として、次の2点が挙げられます。

参加者(購入希望者)が少ない

不動産に限らず、競売では入札の際に競争相手が少ないと落札価格が低めに決まる傾向があります。

不動産競売の参加者(購入希望者)が少ない主な理由は、競売にかけられた不動産は情報が限られるということです。
競売で裁判所から開示される情報は、「物件明細書」「評価書」「現況調査報告書」の3点のみ。事前に確認できるのは書類のみなので、基本的には自由に物件の内覧などができません。
外観は入札を検討する人が物件まで出向いて確認できますが、裁判所が決める入札期間が短いため、遠方の物件なら難しくなるおそれも。こうした点も、仲介の不動産取引とは大きく異なる理由です。

限られた情報と期間だけで不動産を買うかどうかの判断をすることは、知識や経験が無ければ難しいため、参加者(購入希望者)が少なくなる傾向があります。

「評価書」で最低落札価格が決まる

競売にかけられた不動産が相場よりも割安になるもう一つの理由が、「評価書」に記載された最低落札価格が低いこと。

評価書とは評価人(裁判所から委嘱された不動産鑑定士)が作成する書類で、評価書における最低落札価格は、一般に相場よりも低めです。
その理由は様々ですが、例としては「内覧の自由が制限されていること」や「引き渡しを受けるにあたり法的手続きが必要なこと」「品質などにおける契約不適合責任がないこと」「売主の協力を得られにくいこと」などが挙げられます。

競売不動産特有の様々な制約を評価額に反映させるため、「評価書」における最低落札価格は相場よりも低めとなるのです。

競売ならではのデメリット

不動産を割安で購入できる可能性があるというメリットを持つ競売ですが、一方で、競売ならではのデメリットもあります。

不動産投資ローンが通りづらい

不動産投資を目的に競売不動産を購入するにあたり、金融機関の融資を受けたいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、競売不動産の購入では、ローンの審査が厳しくなる可能性があります。

そもそも競売不動産は、債務者からローンが返済されなかった物件です。家賃・管理費等の滞納があれば、買主は物件価格以上の資金を用意する必要があります。そのようなリスクを抱える買主からの不動産投資ローンの申込みに対し、金融機関は融資を敬遠するかもしれません。
また、不動産会社による専門的な仲介サポートを受けて成立する売買ではないということもあるのか、一般社団法人不動産競売流通協会によると、積極的に融資を行う金融機関は少ないとのことです。(※1)

※1:一般社団法人不動産競売流通協会など、競売不動産の流通を促す団体がローン契約の支援活動を行うケースもあります。

参考:一般社団法人不動産競売流通協会
https://fkr.or.jp/banker/banker_loan.html

利用するまでに時間と労力がかかる可能性がある

収益物件として賃貸を目的に購入したとしても、目的通りに不動産を使えるようになるまでに、時間や労力が必要になる可能性があります。

例えば、その不動産に占有者・居住者がいる場合、落札した物件を賃貸に出すためには話し合い・説得の上で退去させなければならない可能性があります。また、居住者を賃貸人として家賃を徴収しようと思っても、賃貸契約に応じてもらえないかもしれません。
建物が築古・汚れが酷いなどの場合には、リフォームが必要になる可能性も。

それらのリスクを事前に知るためには内覧がおすすめですが、希望したとしても、不動産を差し押さえた債権者の許可を得る必要があります。

ほぼ全てが「自己責任」

競売で購入した不動産に関し、購入後に欠陥が見つかったとしても、それを補償してもらうことはできません。契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)は、競売不動産の購入には適用されないからです。

契約不適合責任とは、売買契約などで引き渡された物が契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のこと。不動産の競売においては、一般的な不動産売買のように売主が存在しないため(裁判所も金融機関も売主ではありません)、契約不適合責任は成り立ちません。もし、競売不動産の購入後に何らかの欠陥が見つかった場合には、買主の負担でそれを解消することになります。

今回のまとめ

改めて今回のポイントを振り返ってみましょう。

  • 競売不動産とは、もとの不動産の持ち主がローンを返済できなかったことで差し押さえられ、裁判所に競売にかけられた不動産。
  • 評価人(裁判所から委嘱された不動産鑑定士)の公正な物件調査に基づく報告書を確認しながら、相場よりも割安で不動産を購入できることが、競売のメリット。
  • 競売のデメリットは、購入した不動産をすぐに目的通りに使用できるとは限らないことや、何らかの欠陥が見つかったとしても自己責任で対応する必要があること。

競売は少しでも初期コストを押さえて不動産投資を行いたい方にとって魅力的かもしれません。しかし不動産会社に仲介を依頼する購入のように事が運ぶ保証がなく、自分の責任の割合が大きいため不動産投資の初心者にはハードルが高いでしょう。

「初期費用を抑えて収益物件を購入したい」という理由だけで競売に参加するのは、不動産投資初心者の方にとってリスクの高い選択になるおそれもあります。競売に挑戦するのであれば、まずは通常の仲介売買を経験し、不動産投資に慣れてからにすることがおすすめです。
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