管理・運用

マンション購入では維持費に注意!「管理費」「修繕積立金」とは?

2021年3月18日

中古マンションや新築マンションの購入を検討している方の中には、維持費について気になる方も多いでしょう。購入後も継続的に負担することになるものですが、維持費は管理費や修繕積立金をはじめとして色々な費用の組み合わせであり、「安ければ安いほど良い」というものでもありません。快適に暮らしていくため、そしてマンションの資産価値を維持していくために様々な場面で必要な経費なのです。
ここでは、マンションの維持費の概要を説明した後、特にその中心である管理費・修繕積立金にフォーカスして内容や注意点などを詳しくご紹介します。

マンション購入後の維持に必要な費用とは?

マンション購入した後に継続してかかる維持費には、大きく分けて次の5種類があります。

  1. 管理費
  2. 修繕積立金
  3. 駐車場代など
  4. 固定資産税など
  5. 保険料

それぞれ概要を見ておきましょう。

1.管理費

管理費とは、主にマンションの共用部分の管理のために支払う費用のこと。エントランスや廊下、エレベーターなど共用部分の清掃や保全、管理人の人件費など、マンション全体の健全性維持のために支払う費用です。
住人全員が快適に住むために不可欠ですが、物件の資産価値を保つために必要なコストという側面もあります。

2.修繕積立金

修繕積立金とは、将来的に行われる大規模修繕等の費用に備え、マンションの所有者が共同で毎月少しずつ積み立てていくお金のこと。大規模修繕には高額な費用がかかるため、修繕の際に初めてお金を用意するのではなく、みんなで少しずつ貯めていくのです。
なお大規模修繕は、一般的にはおおむね10~15年に1度のペースで行われます。

3.駐車場代など

マンションに併設する駐車場や駐輪場を使用する際には料金がかかることが一般的です。
駐車場の利用料は基本的に管理組合に支払います。エリアや物件によって料金は異なり、車1台分で月5,000~30,000円ほどと相場にも幅があります。
駐輪場は、エリアや物件を問わず、自転車・バイク1台分で月1,000円未満が一般的。無料で駐輪場を利用できるマンションも少なくありません。

4.固定資産税など

マンションの所有者には、毎年固定資産税が課せられます。また、住んでいるエリアによっては、都市計画税が加算されることもあります。
保有する固定資産の評価額に対し、一定の税率を乗じて固定資産税を算出します。

5.保険料

購入したマンションの火災・風災などの被害に備え、火災保険に加入することが多くあります。通常は、住宅ローンを組む条件として、金融機関から火災保険への加入が求められます。
火災保険と合わせて加入しておきたいのが地震保険。地震が原因で生じた火災で受けた損害等には、火災保険はおりないため、地震に備えるならぜひ地震保険にも加入しておきましょう。

これら維持費のうち、一般にコストが高めとなるのが管理費と修繕積立金。
以下では管理費と修繕積立金にフォーカスし、詳しく解説します。

管理費

マンションの共用部分の維持・管理のために毎月支払う管理費。金額単価や使い道は各マンションの管理規約で定められており、マンションによって金額が異なります。

国土交通省が公表した平成30年度の調査データ(※)によると、1戸あたりの1ヶ月の管理費の平均額は15,956円。総戸数が多い大規模マンションほど、1戸あたりの管理費が安い傾向があります。また、同じマンション内なら基本的に管理費の単価は同額ですが、専有面積に応じて所有者が負担するため、広い部屋ほど高くなります。

支払った管理費は主に、次のような目的に利用されています。

  • マンションの清掃や保全にかかる費用
  • 共用部分の設備維持費(電気代など)
  • ゴミの処分費用
  • 管理人の人件費・マンション管理会社への委託料
  • エレベーターや貯水槽などの保守点検費用
  • 共用部分にかかる火災保険などの保険料

このように管理費は、マンションの住民全員が快適に住んでいくための必要コストであることがわかります。同時に、保有しているマンションが長く資産価値を保っていくためにも必要なコストと考えましょう。

※参考:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf

管理費に関わる注意点

戸数が少ないと管理費が高くなる

総戸数が少ないマンションの場合、管理費が高くなる傾向があることを覚えておきましょう。例えば上述の調査によると、総戸数が20戸以下のマンションの管理費は、1戸・1ヶ月あたり平均約1.9万円(使用料・専用使用料からの充当額を含む。以下同様)。全体での平均は1.6万円弱ですので、それより高めです。

総戸数の少ないマンションの管理費が高くなる理由は、少ない所有者でマンション全体の管理費を負担しなければならないからです。
たとえば、エレベーターが1基あるマンションの場合、戸数が20戸のマンションと40戸のマンションとでは、その保守管理のために1所有者にかかる負担が大きく異なります。エレベーター1基の費用を20人で出し合うより、40人で出し合う方が、一人あたりの支出は少なく済みます。

参考:平成30年度マンション総合調査結果
https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf

タワーマンションなど設備が充実していると高くなる

20階建て以上の高層マンションや設備の充実したマンションなども、管理費が高めになる傾向があります。19階建て以下のマンションの管理費は1戸・1ヶ月あたり平均約1.5~1.6万円であることに対し、20階建て以上のマンションの平均管理費は約2.5万円です。

この数字には使用料・専用使用料からの充当額が含まれています。使用料は駐車場や専用庭、ルーフバルコニーなど、共用部を利用するための料金のことで、こうした設備が充実しているタワーマンションなどでは、低層のマンションに比べて使用料が高くかかる傾向があるようです。これが、管理費が高い要因の一つになっているケースもあるでしょう。

ほかに高層マンションの管理費が高くなる理由には、消防法もあります。マンションが高くなっていくと、非常用エレベーター(高さ31m以上の建物・およそ15階建て以上)やヘリポート(高さ100m以上の建物・およそ30階建て以上)の設置が義務付けられます。これらの設備を維持・管理していく必要性から、高層マンションの管理費は高くなる傾向があるのです。

また、タワーマンションのなかには、建物内にフィットネスやパーティールームなどが併設されているものもあります。これらの運営・維持にも管理費があてられることが多く、こうしたサービスが充実しているマンションでは管理費が高くなりがちです。

参考:平成30年度マンション総合調査結果
https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf

用途はしっかり確認するべき

マンションの共用部分の快適さや安全性などを維持していくため、自身の資産でもあるマンションの価値を維持していくため、管理費の支払いは必要不可欠です。

ただし管理費を支払う以上は、その金額が適正かどうかを確認することが大事。周辺にある類似のマンションと比較し、極端に管理費が高かったり安かったりしないか、よく確かめてみましょう。
また、可能ならば管理費の内訳も確認してみましょう。購入前にマンションの販売会社を通して、管理費に関する資料を見せてもらえるかもしれません。中古マンションなら、管理組合の規約や過去の決算書に、細かな内訳が書かれていることがあります。

自分が快適に暮らすために必要な設備やサービスなら、管理費の負担はかかっても、金額を妥当と感じるかもしれません。管理費が高いか安いかその金額自体よりも、その管理費に自分が納得できるかどうかが大事です。

修繕積立金

将来的に行われる大規模な修繕等に備えて積み立てていく修繕積立金。マンションの規模や修繕内容にもよりますが、大規模修繕にかかる費用は、一度に数百万円や数千万円かかることもあります。そのように莫大な費用は、修繕実施のタイミングで出し合うのではなく、管理組合で設定する修繕積立金制度により少しずつ積み立てていくのが基本です。

国土交通省が公表した平成30年度の調査データによると、全国の98%以上のマンションは、修繕積立金を徴収しています。1ヶ月・1戸あたりの修繕積立金の平均額は11,243円。マンションの管理組合が作成・見直しする長期修繕計画にもとづいて設定されるところが大半です。長期修繕計画の期間中、定期的に定額を積立てる「均等積立方式」と、段階的に値上げされていく「段階増額積立方式」のところがあります。一部、マンションを新築した分譲事業者が提示した金額のままのマンションや、管理費の一定割合として設定されているマンションもあります。

同省が公表している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」には、修繕積立金の目安が記載されています。建物の階数や延床面積に応じた修繕積立金額の平均単価に、購入予定のマンションの専有面積をかけると算出することができます(機械式駐車場がある場合には加算額があります)。気になる方はチェックしてみてください。

購入予定のマンションの長期修繕計画や修繕積立金の金額は、新築マンションなら分譲する不動産会社が、購入予定者に提示するのが一般的。中古マンションなら、販売仲介をする会社を通して確認できます。

参考:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/000141884.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf

以下、修繕積立金の主な用途を見てみましょう。

  • 定期的(10~15年に1度の頻度)で行われる大規模修繕
  • マンション外壁の改修
  • 給排水管の交換
  • 受水槽の交換
  • 屋上などの防水改修
  • 共用部分のペンキ塗り替え
  • 地震や台風などによる損傷の修理

マンション全体に関わる大掛かりな修繕に備える資金が、修繕積立金なのです。

修繕積立金に関わる注意点

長期修繕計画が無いマンションは注意

国土交通省の調査によると、国内の約9割のマンション管理組合は長期修繕計画を設定しているそうです。逆に言えば、約1割のマンション管理組合では、長期的な修繕計画が設定されていないということでもあります。計画が設定されていないということは、予定外の時期に大規模修繕工事をすることになり、急に大きな修繕費を請求される恐れがあります。そうなると、生活費や教育費、住宅ローンの支払いなど、家計の資金計画に狂いが生じてくる恐れもあります。

マンションを購入する際には、対象となるマンションの管理組合がきちんと長期的な修繕計画を設定しているかどうか、あらかじめ確認することが大切です。中古マンションなら長期修繕計画の策定から見直しまで、これまでの経緯を確認することもできます。

金額が低すぎる

新築マンションの中には、しばらく大規模な修繕を行わない想定から、当初の修繕積立金を低く設定しているところがあります。新築マンションの購入時は何かと出費の多いタイミングでもあるため、低めの修繕積立金であれば助かると考える方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら、新築マンションでも、いつかは必ず大規模な修繕が必要となる時期がやってきます。その時になって修繕積立金が不足していた場合、マンション管理組合から、急な修繕積立金の値上げや一時金の徴収などが行われる可能性があります。修繕積立金が標準的な水準よりも大幅に低く設定されているマンションは、その理由を確認するなど慎重に検討した上で購入しましょう。

中古マンション購入時に気を付けたい、滞納管理費の承継

前の所有者に支払能力がなく滞納した管理費や修繕積立金を回収できない場合、次の所有者に未払い金が請求される可能性があります。
滞納された管理費・修繕積立金は、原則としては滞納した前所有者に請求されますが、区分所有法では、「管理組合は、前区分所有者の滞納管理費等を特定承継人に対して請求することができる」と規定されています。
「前区分所有者」とは、前にそのマンションを所有していた人のことで、「特定承継人」とは、「前区分所有者」からマンションを買ったり贈与を受けたりした人のこと。つまり、前の所有者が支払えなかった分は、現所有者へ滞納管理費を請求できてしまうので、購入費以外にも費用がかかってしまう恐れがあるのです。
中古マンションを購入する際には、前の所有者が管理費や修繕積立金を滞納していなかったかどうかを、しっかりと確認しておくことをおすすめします。

参考:建物の区分所有等に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069

今回のまとめ

以上、マンションの購入後にかかる維持費の概要、そして特に管理費・修繕積立金についてくわしい内容や注意点などを解説しました。

維持費の中でも、管理費と修繕積立金の占める割合は高めです。トータルで考えれば、決して安い金額ではありません。だからこそ、マンションを購入する際には、それら維持費も含めて、事前にしっかり確認しておくべきです。
ローン返済や生活費など他の出費も考慮し、管理費や修繕積立金が家計を圧迫しないかどうかをイメージしてみてください。合わせて、将来的に修繕積立金などが値上がりした場合も想定し、さまざまな資金計画のシミュレーションを行っておくようにしましょう。
不動産会社と相談する際には、対象物件における管理費や修繕積立金の具体的内容を確認するとともに、資金計画についてもアドバイスをもらうこともおすすめです。

なお、当社Myアセットでも、お客様にご満足いただける良質の中古マンションを多数取り扱っています。管理費や修繕積立金を含めた資金計画にも、専門知識を持ったアドバイザーが相談に応じているのでご安心ください。
当社スタッフ一同、中古マンションの購入を検討している方々からのご連絡を、心よりお待ち申し上げております。