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中古マンションを購入するときの仲介手数料とは?上限額や安く抑える方法は?

2021年2月26日

不動産会社を通して中古マンションを購入する際には、売買を仲介した不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要があります。
ここでは、仲介手数料のしくみや法定上限額、仲介手数料を安く抑えるためのポイントについて詳しく解説。中古マンションの購入をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも仲介手数料とは?

まずは不動産会社に支払う仲介手数料がどういったお金なのか、そして支払うタイミングについて確認しましょう。

仲介手数料とは、不動産会社を介して不動産を取引した際に支払うお金

不動産会社に支払う仲介手数料とは、不動産の売買を行うときに、取引の仲介をした不動産会社に対して支払う報酬のこと。売主と買主の双方が、それぞれ仲介した不動産会社に対して仲介手数料を支払います。

不動産会社は、売主や買主がスムーズに物件の取引をできるよう、常に情報収集や交渉を行っています。また、不動産の売買契約をする際には売買契約書の作成や調印の準備、重要事項の説明などを行います。これら不動産会社のサービスに対して支払うお金が仲介手数料です。

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料は、取引が成立したことに対して支払う成功報酬です。ですので、支払うタイミングは「決済時(引き渡しが完了したとき)」の1回、または「売買契約締結時」と「決済時」の2回です。一般的には2回に分け半額ずつ支払います。
不動産会社・取引のケースなどにより異なりますが、不動産会社が指定するタイミングで仲介手数料を支払うと覚えておいてください。仲介に伴って発行される「一般媒介契約書」などにも明記されています。

仲介手数料の法定上限額の算出方法

不動産会社に支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法46条により上限額が定められています。この上限額を下回ることは可能ですが、上回ることはできません。
それでは、仲介手数料の上限額の計算方法などについて理解していきましょう。

仲介手数料の上限を求める計算方法

仲介手数料の上限額は、400万円超の物件については次の「速算式」にあてはめることで算出できます。

仲介手数料上限額=購入価格×3%+6万円(+消費税)

たとえば3000万円のマンションを購入する場合、仲介手数料の上限額は次のように算出されます。

3000万円×3%+6万円+消費税(10%)=105万6千円

実際の不動産取引では、大半の不動産会社がこの上限額を仲介手数料として設定しているようです。ただし上述の通り、この上限額を下回る手数料を設定しても問題ありません。実際に不動産会社の中には、仲介手数料を割引したり無料にしたりするケースも見られます。

速算式の仕組み

不動産仲介手数料の上限額は厳密に言うと、購入価格を一定の金額で区切りって定められています。

<仲介手数料の上限額>

  1. 購入価格の200万円以下の部分…購入価格の5%+消費税
  2. 購入価格の200万円超400万円以下の部分…購入価格の4%+消費税
  3. 購入価格の400万円超の部分…購入価格の3%+消費税

このルールに基づいて仲介手数料を計算した場合、たとえば購入価格が3000万円のマンションなら次のような上限額となります。

  • 200万円×5%=10万円…①
  • 200万円×4%=8万円…②
  • 2600万円×3%=78万円…③
  • ①+②+③+消費税=105万6千円

上でご紹介した「速算式」と同じ結果になりますね。
3000万円に限らず、購入価格が400万円超ならば、5000万円でも7000万円でも「速算式」と同じ結果になります。ぜひ、ご自身でも計算してみてください。

参考:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html

仲介手数料を少しでも安く抑えるには?

マンション購入のときの仲介手数料は、決して安くはありません。上記で解説した通り、3000万円のマンション取引に対しては100万円以上の仲介手数料が発生します。少しでも安く抑えたいというのが、多くの方の心情でしょう。
以下では、不動産会社に支払う仲介手数料を少しでも安く抑える方法をご紹介します。

そもそも仲介手数料の値引き交渉は可能?

仲介手数料の値引き交渉をすること自体は可能ですが、それに応じるかどうかは不動産会社の判断次第となります。
可能な限り良い物件を少しでも有利な条件で紹介してもらうためには、買主と不動産会社の双方にとって良い取引になることが大切なポイントです。仲介手数料の金額は非常に気になるところかと思いますが、より良い物件に巡り合うためにも不動産会社との良好な関係を意識しましょう。
仲介手数料の値引き交渉について、不動産取引の基本知識の説明を交えながら解説いたします。

両側取引の場合には値引きしてくれる可能性がある

不動産会社の仲介形式には、片側取引と両側取引の2種類があります。

  • 片側取引とは
    物件の取引をする際、買主はA社に仲介を依頼、売主はB社に仲介を依頼と、買主・売主が別々の会社に仲介を依頼している状態のことを、「片側取引」と言います。
    売買が成立した場合、買主はA社に仲介手数料を支払い、売主はB社に仲介手数料を支払います。
  • 両側取引とは
    買主がA社に仲介を依頼し、売主も同じA社に仲介を依頼している状態のことを、両側取引と言います。不動産会社から見ると、買主・売主両方と仲介契約をしている状態です。
    売買が成立した場合、買主も売主もA社に仲介手数料を支払います。

両側取引が成立した場合には、不動産会社には片側取引の場合に比べて2倍の仲介手数料が入ります。両側取引の取引であれば、値引き交渉にも応じてくれるかもしれません。

インターネットの普及により手数料の値引きが現実的になってきた

かつて不動産業界では、世の中に物件情報を周知させたり、それら物件に関心を持つ人を探したりなどの販促活動に対し、莫大なコストを投入していました。「いつも郵便受けに不動産物件の折り込み広告が入っていた」「休日にはよく営業マンが飛び込み訪問に来た」などの経験をお持ちの方も多いでしょう。

ところが現在では、以前のように実店舗を構えず、物件情報の周知や集客をインターネットで行って全体的なコストダウンを行うなどの工夫をし、上限額よりも低い仲介手数料を提示する不動産会社も見られるようになってきました。

値引き交渉は初期段階で行うようにする

不動産会社の収入源の一つが、売主や買主から入る仲介手数料です。
仲介手数料を値引きすることは、不動産会社にとっては売上を削るということ。会社として経営している以上、契約が進んだ後から値引きを行うことは難しくなります。
もし値引き交渉をするならば、契約が成立した段階ではなく、物件を探してもらう初期段階がおすすめです。最初の段階で打診し、難しい様子ならば無理に交渉を続けず、提示された仲介手数料を前提に契約を進めたほうが良いでしょう。

物件自体を値引きしてもらえば仲介手数料も安くなる

少しでも出費を抑えたいのであれば、仲介手数料自体の値引きではなく、物件の購入価格の値引きを交渉してみることも手段になります。
前述した「速算式」で分かる通り、仲介手数料の上限額は物件の購入価格に比例します。購入価格が下がれば、仲介手数料の上限額も下がるのです。物件そのものの価格に連動して仲介手数料も下がる可能性があります。
例えば売り出されてから長期間たった物件の場合、売主は「早く売りたい」という気持ちから、価格の値引きに応じてくれるかもしれません。交渉材料のありそうな物件があれば、狙ってみてはいかがでしょうか。

仲介手数料が無料の不動産会社がある理由は?

中には「仲介手数料無料」を掲げている不動産会社も存在します。「速算式」の上限額を超えない限り、仲介手数料の金額は不動産会社の判断次第なので、無料にすることも問題ありません。
しかし本来、不動産会社にとって仲介手数料は大切な売上の一部。無料にできるのには理由があります。

先に説明した両側取引の場合、通常であれば不動産会社には売主と買主の両方から手数料が入る仕組みです。しかし売主からの仲介手数料だけで利益を確保できると不動産会社が判断した場合は、販促活動への効果も考え、買主側の仲介手数料を無料にしているところもあるようです。

無料であること自体に気を取られすぎず、なぜそうなっているかをしっかりと把握しておきましょう。

不動産会社との直接取引の場合には手数料がかからない

もともと「売主と買主の仲介業務」を伴わない不動産売買においては、仲介手数料自体が存在しません。具体的には次のような例です。

新築マンションでは、ディベロッパー(不動産会社など)が売主として直販する形をとっており、売主と買主の仲介者が存在しないことがあります。この場合、仲介手数料はありません。

また、中古であっても、不動産会社が所有しているマンションを購入するときには、仲介手数料はかかりません。新築マンション同様、不動産会社が売主の場合には、仲介業務そのものが存在しないからです。

今回のまとめ

マンション購入にともなう仲介手数料について、基本的な知識や安くする方法を確認してきました。おさらいとしてポイントを確認しておきましょう。

  • 仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬
  • 「速算式」で算出した上限額より仲介手数料が安くなることもある
  • 値引き交渉は可能だがリスクが伴う。それでも交渉をするのであれば、初期の段階で行う

マンションの購入時に支払う仲介手数料は、決して安くありません。ですが、その金額の違いだけで不動産会社を選ぶことも考えものです。
金額の差は大切ではありますが、仲介手数料だけではなく、その不動産会社を信頼できるかどうかを第一の基準にして不動産会社を選ぶようにしましょう。