不動産投資の基礎

売却にも関係する?不動産投資顧問業とは?

2020年11月30日

不動産売却などを相談する場合、不動産会社を比較検討することになります。しかしながら同じ不動産会社でも、中には不動産投資顧問業という肩書を持った不動産会社があることに気付きます。
この不動産投資顧問業の肩書がある不動産会社は、そうでない不動産会社と何が違うのでしょうか。ここでは、不動産投資顧問業の意味や業務内容、登録要件などを詳しくご紹介します。

不動産投資顧問業とは?

不動産投資顧問業とは、その名の通り、不動産投資を行う人に対し、そのニーズに応じた様々なフォローやサポートを行う専門職のこと。不動産投資とは、マンション等の不動産物件を購入して安定的な家賃収入の獲得を目指す資産運用法を言います。

不動産投資顧問業は国土交通省の認定制度で、2つの種類があります。一般不動産投資顧問業と総合不動産投資顧問業です。それぞれの違いを簡単にご説明します。

  • 一般不動産投資顧問業
    一般不動産投資顧問業とは、不動産投資を行う投資家に対し、投資判断に関する様々な助言を行う業務のこと。
    助言は行うものの、最終的な投資判断を行うのは投資家本人になります。
  • 総合不動産投資顧問業
    総合不動産投資顧問業とは、一般不動産投資顧問業の業務内容に加え、投資家に代わって投資判断を行ったり取引を行ったりする「投資一任業務」ができる業務のこと。

一般不動産投資顧問業であれ総合不動産投資顧問業であれ、不動産に関する専門性が必要な仕事である以上、国土交通省が定める一定の基準をクリアしなければ、これら業務を行うことができません。どちらの業務を行うにしても、所定の実務経験をもち試験に合格した「不動産コンサルティング技能登録者」であることや、1億円以上の不動産に関わる2年以上の業務経験が必須要件です。加えて総合不動産投資顧問業の場合には、資本金1億円以上という財務要件も必要となります。

つまり不動産投資顧問業に登録されている業者は、その専門性において客観的な評価を受けている不動産業者なのです。

買い手のつかない不動産の売却をしたい場合、売却活動をする業者は一社のみに絞った方がより良い結果に繋がる可能性があります。
だからこそ、その場合は収益物件に精通した専門性の高い不動産投資顧問業の登録を受けている業者がおすすめです。
もちろん不動産投資顧問業に登録されていない業者でも契約・売却活動は依頼できますが、登録されていることはより納得の行く取引のための業者選びにおける一つの基準となります。

具体的な業務は?

不動産投資顧問業に登録された業者は、投資家に対し次のような業務を提供しています。

  • 一般不動産投資顧問業
    一般不動産投資顧問業を名乗る業者は、投資家が検討している不動産に対し、投資価値に関する助言を行います。
    安定的な家賃収入を目指す投資家に対してだけではなく、不動産の開発事業や大規模修繕、不動産証券化(不動産を運用するための会社のような事業体を作り、投資家がその事業体に対して出資や運用益受取などを行う運用方式)などに対し、投資的な側面からの助言を行うこともあります。
  • 総合不動産投資顧問業
    総合不動産投資顧問業を名乗る業者は、一般不動産投資顧問業が提供している助言サービスに加え、顧客に代わって投資判断や不動産取引を行う投資一任業務を行うことができます。
    また、顧客から一任された業務について、資産運用会社や投資信託委託会社に再委任する業務を行うこともできます。

以上のように、不動産投資顧問業に登録された業者は不動産投資に関しての助言や委託された業務を行います。
不動産売却を検討していて特に一社とのみ契約して売却活動に注力してほしいという場合は、その専門性という観点から選ぶ基準の一つと捉えることができます。

登録や継続には何が必要?

一般であれ総合であれ、不動産投資顧問業を営む場合には、原則として国土交通省が指定する登録申請を行う形となります。
登録申請に必要な提出書類には、事業所の所在地や名称、資本金などの形式的な情報のほかに、たとえば次に挙げるようなものがあります。

  • 登録申請者または重要な使用人のうち、不動産投資顧問業務を遂行するに足る十分な知識・経験を有していることの証明書類
  • (総合不動産投資顧問業を行う場合)直近の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書
  • (総合不動産投資顧問業を行う場合)事業開始後3年間における当該業務の収支の見込み、管理体制の整備状況などをまとめた書面

これら情報や書類のほかにも、不動産投資顧問業として登録するためには、非常に多くの準備や提出が規定によって必要とされています。加えて、登録が完了した後にも、事業年度ごとに事業報告書を作成して国土交通大臣に提出する義務を負うなど、継続的な作業が必要となります。

様々なプロセスを通過して、不動産投資顧問業に登録されているので、投資顧問サービスに限らず、当該業者が提供している不動産サービスにおいては一定の専門性が担保されていると言えます。
不動産売却を不動産会社に依頼する際、物件の状況によっては売却活動の依頼を一社に絞って注力してもらうほうが適する場合もあります。
その場合は不動産会社の専門性を重視して、不動産投資顧問業の登録がある業者であるかどうかを一つの指標にできるでしょう。

今回のまとめ

以上、不動産売却を検討している方に向け、不動産投資顧問業に関する基本的な知識をご紹介しました。改めてポイントを2点ほど押さえておきましょう。

  1. 不動産投資顧問業とは国土交通省が管轄する登録制度の一つ。
  2. 不動産投資顧問業の登録の有無は、信頼できる不動産会社であるかどうかを判断する指標の一つになる。

不動産売却に関わるのは、契約する業者を一社のみに絞った方が納得した結果に繋がる可能性が高まる、築年数のある物件などの売却時です。
不動産投資顧問業に登録されていない業者でも契約・売却活動は行えますが、業者の専門性をより信頼できるかどうかの基準の一つとしてお考えください。

引用元:建設産業・不動産業:不動産投資顧問業について – 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000262.html